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最先端医療に聞く、肌ケアの嘘とホント
ナチュラル “モテ肌“はこうして作れ

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細胞摂取、若返りの最先端医療

こんにちは。ナチュラルビューティーハンター品田ゆいです。

男性も女性もハリのあるお肌は魅力的だと思いませんか? どうしたらモテ肌になれるのか「再生医療」の第一人者・北條元治医師に教えていただきます。

「肌再生」という最先端医療のみならず、アンチエイジングや美肌についての著書も多数出版されている北條医師。そんな北條医師に、正しいお手入れ法を伺うとともに、間違った情報には理論的な男性医師らしく一刀両断! して頂きました。

品田:先生は皮膚の培養により“肌を再生する”という、細胞レベルのお仕事をされていますよね。そもそも、お肌の老化の原因とは一体何なのでしょうか?

北條:人間の身体は細胞で出来ています。肌の細胞は主にコラーゲンをつくり出しますが、そのコラーゲンをつくり出す肌細胞が加齢等の原因によって減ってしまうんですね。密度が高く厚みのあった肌細胞の密度が減り、薄くなってしまう。それが原因でしわ・たるみとなるんです。

品田:お肌の老化の真相は、コラーゲンを作る細胞の減少なのですね。お肌の事について細胞レベルまで考えた事はありませんでした。

北條:残念な事に、一度減った細胞は増やす事が出来ないんですよ。

品田:細胞を何かで補給する事は出来ないですか? しわ・たるみは治しようが無いということなんでしょうか?

北條:がっかりさせてしまうかもしれませんが、補給しても治すことは難しいんですよ。例えば、コラーゲンを摂ればしわやたるみが治るという事はありません。なぜなら、栄養という材料があっても細胞という工場がないといけませんからね。

品田:いきなり一刀両断ですね、ショックです。「何かを摂取すれば老化が止められる」というような情報は世の中に溢れているのに。

北條:僕はウソをつきませんから(笑)。コラーゲンに限らず皆さんにお伝えしているのは、食べ物は薬にはならないという事です。

品田:そうなんですね。コラーゲン鍋を食べるとお肌プルプルなんて、真っ赤なウソだったんですね。

北條:糖尿病、高血圧など食習慣によって病気になる事はありますが、食習慣によって病気を治すということは出来ない、一方通行なんです。

品田:では“モテ肌”に必要な栄養素についてお伺いしたいのですが...。これは愚問ですか?

北條:いえ。もちろんバランスの良い食事を心がける事は大切です。糖質制限ダイエットや油分をカットするというのは肌に対しては良くありません。

品田:バランスが大事ということですね。

北條:食事によって細胞を増やす事は出来ませんが、細胞を傷つける紫外線に気をつければ老化を遅らせたり、防ぐ事は出来るんですよ。

品田:では、普段の生活で気をつけるべきポイントを教えて下さい。

北條:洗顔では肌表面をごしごし洗うのは避けてください。石鹸での洗顔は、2日に1回で良いくらいです。現代人はみんな洗い過ぎなんですよ。

品田:男性は皮脂が多いので気になる方も多いのではないかと思うのですが。

北條:慣れの問題ですね、一ヶ月もすれば慣れてきますよ。肌表面は角化細胞という細胞の死骸で覆われていますがこれを取りすぎるのがよくない。人間の身体にムダなものはないという事ですね。

品田:保湿に関してはいかがでしょうか? 私自身は、オーガニックのものは肌に良いと思っているのですが。

北條:私は長年ニベアを愛用していますよ。オーガニックのものがトラブルが少ないのは事実ですが、だからと言って合成されたものが全て悪いという訳でもありません。

品田:ハズさないための選択肢として、どの様にしてスキンケア製品を選べばよいでしょうか。

北條:“自分が使って心地よい”と感じたものを使って下さい。高かったからといって肌に合わないモノを使い続けるのは愚の骨頂です。

品田:海外ブランドや高級化粧品は勿体なくて捨てられないという心理になりがちですよね。

北條:そう思うかもしれませんが、少しでも刺激を感じたらすぐにやめて破棄するべきです。男性も女性も自分に合うものを探しましょうね、ということです。スキンケアはシンプルな事をコツコツやることが基本なんですよ。また、男性も女性も紫外線には気をつけた方が良いです。紫外線はダイレクトに肌の衰えを促進します。車で例えると鉄板部分が真皮(1mm)、非常に薄い塗装部分が表皮(1μ)だとすると、特にUVA(紫外線A波)は真皮部分まで届いて細胞を死滅させてしまいます。鉄板部分に傷をつけてはいけません。

品田:私は日焼け止めを年中塗っていますが、男性はスポーツをするときでもあまりUVケアをしませんよね。

北條:過度の紫外線を避けるなら男性はキャップをかぶる、もしサンスクリーンを塗るならSPFの高さにこだわるのではなく、こまめに塗りなおすことが大切です。

品田:スポーツはストレス発散になるのに、紫外線の影響を受けると皮膚にはストレスになるんですね。

北條:ただ物事には正反両方の側面がありますから大きな目的をはき違えてしまっては本末転倒ではないでしょうか。“人生をよく生きたいから”美肌を目指す訳であって、美肌が目的ではありません。手段と目的をはき違えなければ、おおらかにキレイになると思います。

品田:そうですよね! 大枠で見るゆとりも必要ですね。

北條:そうですね。ただ、ゴルフ焼けで真っ黒になった男性の肌からは、再生医療を施そうにも細胞が取れず、苦労した事があります。何事も節度が大事ということですね。

品田:では過去にスポーツや日焼けを思う存分楽しんだけれど、「しわやたるみ」を治療したい! という人のために、最先端の「再生医療」について教えて頂けますでしょうか。

北條:現在当クリニックで行なっているのは肌細胞が減って衰えてしまった部分に、自身の細胞を戻し、肌を“自活”させるという医療です。ヒアルロン酸等の異物を混入する“美容整形”とはちがうんです。

品田:大変興味深いです。この治療は何故始められたのでしょうか。

北條:元は火傷の治療を目的とした医療でした。1981年にアメリカのある医師が全身火傷を煩った子供の唯一無傷だった脇の下から細胞を培養し全身の火傷を治したんです。切手一枚分の皮膚の細胞で全身の修復が可能ですが、この分野にはもっと一般的な需要があると気づいたんです。

品田:それが、肌の衰えに対する自然な治療法なんですね。

北條:自然な効果が得られる非常に安全性の高い治療です。

品田:私も最近クマが気になっているので、そこに細胞を打ったら治りますか?

北條:ちょっと拝見...まだしわが刻み込まれていないので、劇的な変化はしないと思います。女性は即、効くか効かないかを気にしますが、この治療は非常に長い時間をかけてゆっくりと再生して行くのですよ。

品田:具体的にはどんな治療をするのでしょうか?

北條:顔の皮膚に質感が近い耳の裏の皮膚から細胞を取り出し、大切に培養を行い約1万倍に増やします。その培養された細胞を注射器で移植して肌を再生させるんです。半導体工場のような培養室は、男性の方は興味を持たれるんじゃないでしょうか。

品田:培養の様子がまるでSF映画のようですね。皮膚の細胞を培養して再生医療を行うなんて、まさに「最新医療」。自分の肌細胞の移植ですから、体内に異物が入るということもなく安心感もありますよね。

北條:そうですね。異物を注入するわけではないので、安全性も高いです。また、ご自身の細胞を冷凍保存しておいて、将来お肌の衰えが気になってきた際に冷凍しておいた「若い頃の自分の細胞」を使い、再生医療を行うという方法もあるんですよ。

品田:そんな方法まであるんですね。将来のために、今から細胞だけでも冷凍保存しておいていただきたいです。でも、10代の頃に冷凍保存しておけば、もっと良かったのかもしれませんね...(笑)。北條先生、今回は、医学に基づく“モテ肌”の作り方と、進歩した肌再生医療のお話、ありがとうございました!


自分の細胞で、私が生まれ変わる。整形手術とは違い、元々ある自然で健康な状態にお肌を近づけてくれる「再生医療」。干場編集長にもオススメです。その時のために耳の裏だけでも日焼けしない様に気をつけて下さいね。

Text:Yui Shinada
Photo:Tatsuya Hamamura
Getty Images

北條元治(ほうじょう もとはる)

株式会社セルバンク代表取締役、RDクリニック顧問、東海大学医学部非常勤講師、形成外科医、医学博士。
1964年、長野県生まれ。1991年、弘前大学医学部卒業。信州大学医学部附属病院勤務を経て、ペンシルベニア大学医学部で培養皮膚を研究。
帰国後、東海大学医学部にて同研究と熱傷治療に従事。2004年、細胞保管や再生医療技術支援を行なう株式会社セルバンク設立。
2005年、RDクリニック開設に際し、培養皮膚の特許を供与。著書に『ビックリするほどiPS細胞がわかる本』など。



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