最上級のタイムピースを知ることで
自分らしい一本を掴むステップへ
先月、SIHH2016が終了し、何かと賑わう時計業界。カルティエからも気になる新作がいくつかあるなかで、今回はウォッチメイキングの可能性を広げる複雑機構を展開するオートオルロジェリーから「アストロミステリアス」をお届けします!
専門的な知識がなくても凄さが伝わるこの不思議な機構は、100年以上前に開発した「ミステリークロック」と呼ばれる置き時計からはじまった神秘的かつ伝統的なものです。種を明かすと、ムーブメントに針を直接付けずに、2枚のガラスのディスクに針を固定。これらのディスクはクロック台に納められたムーブメントにより作動し、1枚のディスクは分表示、もう1枚は時表示に使われます。
このミステリアスな機構を進化させた「アストロミステリアス」は、トゥールビヨンの機構としてキャリバー9462 MCを搭載することで新たな偉業に挑戦しました。歯車の部分が外から見えないほど小さく収められた中心の構造は、脱進機、テンプ、歯車機構と香箱車で構成され、ダイアル中央の脱進機を針とともに回転します。これによりダイアルの周囲を1時間で一周させることで、ムーブメントは空に浮かぶ星のように動くのです。
これらの土台を支えるのが、4つのサファイアディスクです。時間表示のディスクはトゥールビヨンのディスクと繋げられ、ともに直径が大きいことから、歯車機構の開発とこれらの部品を保護するための新しい耐衝撃システムが考案されました。ディスクを使う巻き上げは現在特許を申請中。リューズが巻き上げの時にしか香箱と接しないこの独自の機構は、小歯車の開発によって実現しました。この小歯車が巻き上げディスクと接触することで巻き上げが行われ、リューズを巻かないときは接触を解除するように設定されています。ムーブメントの土台にあるディスクは2つの役割があり、ひとつはトゥールビヨンのキャリッジの回転に必要は動力を与えること。もうひとつはリューズが引き出された時に、時刻合わせのシステムを始動させることです。このすべてを革新的なレバーの開発で可能としており、始動システムとレバーともに特許取得の対象になっています。
「ミステリークロック」から続く伝統を守ると同時に、複雑機構の最先端を行く「アストロミステリアス」の存在を知ることは、腕時計の歴史の一端に触れることだとも言い換えられます。リアルに購入できる腕時計を吟味する力を養う上でも、最上級のタイムピースを知ることは為になる知識や経験として蓄積されます。
Text: FORZA STYLE
photo:Laziz Hamani © Cartier


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