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BUSINESS 高橋龍太郎の一匹狼宣言

Vol.2 自称・文化人にはウンザリだ。安倍首相、そろそろ考えどきですよ!

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現代アートコレクターとして安倍首相に物申す!

ここ数年、日本が躍起になって世界へ打ち出している「クールジャパン」。
「日本の文化を世界へ」と言いながら、国内の文化予算は先進国とは言えない貧しさなのをご存知だろうか。
そのくせ、海外の万博などでは無意味にカネをばらまきまくっているのもご存知か。内弁慶はもうよしなさい。外面ばかりを取り繕っていたら本当の日本の良さを失ってしまうことになるやもしれない。

精神科医であり日本一の現代アートコレクターの高橋龍太郎、今回はニッポンの文化鎖国について吠えまくる!

文化鎖国国家ニッポン

 先週から今週にかけては、アートのイベント事が続いた。7日の夜には、アート界の新年会があり、8日の夜には、プラムアンドポーギャラリーで「もの派」展をキュレーションし、世界中に「もの派」ブームを引き起こした吉竹美香さんと2人で食事をした。彼女は日系アメリカ人で、今はスミソニアン博物館ハーシュホーン美術館のキュレーターだ。来年2月草間彌生のミラールームの歴史を含む展覧会を企画し、高橋コレクションからも何点か貸し出すことになった。生まれて初めてのふぐを食べながら、彼女の語った言葉が、衝撃的だった。安倍首相が去年の訪米時、ハーシュホーン美術館の隣にあるアジア関係のフリーア美術館に1億ドル寄付したというのだ。え、日本の文化予算は去年比2億円しか増額してないのに外国の美術館に120億円寄付?

今、我々に必要なのは「鳥」の目だ

11日は十和田現代美術館で、高橋コレクション最終日、書家の華雪さんとのギャラリートークがあった。華雪さんの書を現代アートとして購入した自分自身を問い返すためにも最終トーク相手に華雪さんを指名した。
 

書家・華雪さんの作品『日』


華雪さんは語る。「この『日』という作品は、今までなら何枚も何枚もの日を書いて書いて書きまくって、その中の一枚を作品として仕上げるということをやってきましたが、この日は一字一字、寝る前に1日の終わりに日を書き続けて1ヶ月半分を作品にしました。一字一字を見ると気に入らない日が沢山ある。でもそれがその1日の日だと思って作品に残しました」

十和田で行われた高橋氏と華雪さんのトークライブ


僕は答えた。「何か分かるような気がします。近代までのアートは犬の目でひたすら自分の眼差しを信じて1点を選び出す。でも今は作家が自分自身を鳥の目で見て、自分自身を見下ろした作品をつくる。現代アートとは、書といえど作家の内部だけを見つめるのではなく、自分の置かれた時間と場所を含めて作品にすることなんですね」。僕はすごく納得して急に現代アートの理解者になった気がした(笑)。

自称・文化人の津川雅彦、林真理子らの「日本の美」プロジェクト

1月9日の産経朝刊には「安倍首相の文化外交に期待する」と題して、俳優津川雅彦氏のインタビューが載っている。それによると「価値の大系が文化です。僕は文化人だから経済、安全保障の次は文化だと、ことあるごとに安倍さんに話してきました」。自分のことを文化人と呼ぶ人がこの世にいるとは驚きだが、でもこの呼びかけに応じて昨年10月に「日本の美」総合プロジェクト懇談会が生まれたらしい。そのメンバーがこちらだ。自称・文化人津川雅彦氏が座長。林真理子氏、幸田真音氏、串田和美氏らが並ぶ。とても織細な日本の美意識をお持ちの方々とは思えないが。

安倍首相、アートのマーケティングをしっかり!

クールジャパン戦略も得したのは間に入って稼ぎまくった電通だけで、今や「クールジャパンと言っただけでクールじゃないよね」と、外国人からは笑われてしまう仕末だ。安倍首相はそれなりの器だと思うが、自分に親しい取り巻きを集めていい気になってしまうおぼっちゃま気質が抜けきらない。古典的な日本美を発信しさえすれば、世界がついてくるなどというアナクロ的な自己中心主義は止めて、しっかりマーケティングしたらどうだろう。世界で文化のプレザンスといえばフランス、韓国が圧倒的に上位にくるだろう。あたりまえだ、フランスの文化予算は4,000億。韓国は3,000億。日本は1,000億だ。それでいて2億増額を誰が喜ぶだろうか。それに古典芸術は現代アートと結びつくことで世界では評価されるのだ。現代アートの関係者はいない、受け手側の有力な外国人もいないでは、この懇談会は何を発信するのだろうか。

犬の目より鳥の目。自分自身を紹介しようと思ったら、自分自身を外部から見るという現代アートの視点が絶対に必要なのだ。

安倍首相!お詫びに一昨年お願いしたように草間彌生に国民栄誉賞をあげて下さい!

書き手:高橋 龍太郎
精神科医、医療法人社団こころの会理事長。 1946年生まれ。東邦大学医学部卒、慶応大学精神神経科入局。国際協力事業団の医療専門家としてのペルー派遣、都立荏原病院勤務などを経て、1990年東京蒲田に、タカハシクリニックを開設。 専攻は社会精神医学。デイ・ケア、訪問看護を中心に地域精神医療に取り組むとともに、15年以上ニッポン放送のテレフォン人生相談の回答者をつとめるなど、心理相談、ビジネスマンのメンタルヘルス・ケアにも力を入れている。現代美術のコレクターでもあり、所蔵作品は2000点以上にもおよぶ。

<現在開催中の高橋コレクション>
十和田展
十和田市現代美術館
「草間彌生からチームラボまで」
期間:2015/9/19-2016/1/11
http://towadaartcenter.com/web/exhibition_messages.html
 
パリ展
パリ日本文化会館
“COSMOS/INTIME”
期間:2015/10/7-2016/1/23
http://www.mcjp.fr/francais/expositions/cosmos-intime/cosmos-intime

「写真提供 十和田市現代美術館」

<編集・山本真紀子プロフィール>

山本真紀子(やまもとまきこ)早稲田大学卒。某メガバンク総合職退職後、株式会社JunoJapan設立。アパレルブランドPR等ファッション関連ビジネスを経て、ライフスタイルマガジン「ADVENTURE KING」編集長(2012〜現在)/女性誌「MARIA oriente」編集長。趣味ランニング、飲酒。旅とワインをこよなく愛する冒険野郎。

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