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よし田のラウンジ嬢だけじゃない…承認欲求を飲食店で満たす「ガチヤバ迷惑客」に見る日本人の民度

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昨今、飲食店での迷惑行為が物議を醸している。

記憶に新しいのが昨年起きた回転寿司チェーンでの迷惑行為騒動だ。客の少年が醤油差しの注ぎ口を舐め回す動画を面白がってSNSに投稿した結果、大炎上。器物損壊容疑で書類送検され約6,700万円の損害賠償を求められる裁判に至った。

そして今回は、港区にある高級寿司屋で起こった件でSNSでは大騒ぎだ。

事の発端は、大将がほかの客からいただいたお酒をインフルエンサー(A子)の目の前に置いたからである。

当時、気分が優れないA子が「体調が悪く、お酒の匂いを嗅ぐと気分が悪くなるので反対側に置いてもらえませんか」と告げた矢先、大将が不機嫌になった様子。

場の雰囲気が悪くなり退店の際「こんなお寿司屋さん初めて」とふいに発言すると、大将がカウンターから身を乗り出し殴られかけたというのがA子の主張だ。しかめっ面をした大将の写真がSNSで拡散されている。

危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は言う。

「今回の港区寿司屋の件は、A子の発言だけ切り取ってみると店側がヤバいと思われてしまうのも無理はありません。料理以外の撮影は禁止されているのに、ほかの客の迷惑も考えずA子らが非常識な撮影会を始めたのが原因だったようです。ネット上では当該寿司屋の名前や大将の顔が晒され、A子の素顔まで特定されるほど大炎上。SNSが普及している近年、飲食店のマナー問題は深刻になってきています」

©GettyImages

港区の寿司屋騒動の裏で、客による迷惑行為で頭を抱える一人の居酒屋スタッフがいた。

「去年の回転寿司や今回の高級寿司のように、客による迷惑行為は年々悪質になってきていますよ。コロナが5類になり外食産業が盛り上がるのはとても嬉しいですが、正直来てほしくない客層はいます。店側も迷惑客に対抗すべくさまざまな手を打っていますよ」

今回は、約10年以上にわたり飲食店に従事する居酒屋スタッフから、迷惑行為をおこなう客層や今まで出会ってきたトンデモ客について話を伺っていく。


都内で居酒屋店長を任されている佐藤正吾さん(33歳・仮名)は、令和になって増加したマナーが悪い迷惑客に悩まされている。

「飲食店にとって迷惑行為ナンバーワンなのが予約客の無断キャンセルです。ここ最近は5〜6名でネット予約を取ったのにも関わらず当日キャンセルなんてザラですよ。店も確認の電話を入れるのですが、不在か『すいませんキャンセルで!』と言われて終了。予約客のために席を設けて、来店したいお客さんが入れないことだってあるのに......。悪質な無断キャンセルは、予約コース半分くらいの代金を支払ってほしいくらいですよ。とくに忘新年会などイベントが重なる時期の大人数キャンセルは愕然とします。前日や当日に20名以上のキャンセルになると、仕入れた食材が無駄になるだけでなく本来得られたはずの収益が吹っ飛ぶわけですから大ダメージです」

飲食店の経営に大打撃を与えるのが無断キャンセルだ。店側は予約人数や内容によって食材の仕入れや仕込みをおこなっているため、客が当日来店しない場合、提供するはずだった料理が無駄になってしまう。料理だけでなくキッチンスタッフの労力もすべて水の泡になり士気が下がってしまうのだ。

ツールが多様化して便利になった結果、とりあえず予約して来店をうっかり忘れてしまうケースは多い。無断キャンセルした客の特定も難しく、店は悪評を恐れてキャンセル料を請求できない場合だってある。


「ほかには、酔っ払いの動画撮影や情報拡散ですかね......。学生さんに多いんですが、飲みまくって暴走してグラスを2〜3個割ったりトイレで吐いちゃったり。それを面白がってスマホで撮影してる友人たち。Instagramのストーリーズに投稿しているのだと思うんですが、ふざけた泥酔客の動画撮影はマジで迷惑です。『おい!調子に乗るな!』と大声で注意したいときだってありますよ。お客さんなので丁寧な対応をしますけど、心の中ではふざけんじゃねぇって思ってます。仮に店員が不適切な対応をして動画が拡散されたらこちらの損失でしかありませんから、そこはグッと耐えるしかないんです......。泥酔客が汚したトイレ、スタッフがいまにも泣きそうな顔で掃除するんですよ。人手も足りないのに勘弁してほしいです」


正吾さんが話すように、令和になって飲食店での迷惑行為は増加傾向にあり、悪質な行動が目立つようになった。

飲食店では近年、セルフ会計やセルフオーダーの機械化・省人化が進んでいる。
席で呼び鈴を鳴らし直接オーダーする方式は減り、大手外食チェーン店を見るとオーダーはタブレットで注文、ロボットがテーブルまで食事を提供するのが当たり前の光景になっているのは知っての通りだ。

機械化が進むと従業員数が減り、店員の目が行き届きにくい場所が増える。その結果、迷惑行為自体を直接目撃することが難しく横行しやすくなっているのだ。


そのほか、SNSの普及によって迷惑行為の画像や動画が拡散されやすいのも原因である。

危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏によると、SNSの普及により迷惑行為画像や動画が拡散されやすいのも原因の一つであるようだ。

目立ちたい、有名になりたいといった承認欲求から、面白いことをすればバズりインプレッション稼ぎができるのではないかと考える若者が増えているのも常識を逸脱した行為が増加している理由だと話す。

「大人数の無断キャンセルや学生の泥酔はまだ許容範囲です。もっとヤバいのが......」

力の抜けた表情をしながら語る正吾さん。彼の話す「もっとヤバい客」の正体は何なのか。

☆後半では、今まで出会ってきた迷惑客で「並外れの非常識客」について深掘りしていきたい。そのほか、飲食店が導入している「迷惑客を跳ね返す独自システム」も伺っていく☆

取材・文:錦城和佳
 

▶︎後編に続く


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