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LIFESTYLE 女たちの事件簿

【後編】「ショート動画でバズればめちゃくちゃ稼げる!」承認欲求のための迷惑行為はどう罰していけばよいのか

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不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。
▶︎前編はこちら

前編あらすじ】

都内の居酒屋で店長をしている佐藤正吾さん(33歳・仮名)は、長年の経験から「令和になって迷惑客の行為が悪質になってきている」と話す。

ドンチャン騒ぎをして食器類を割っているのにも関わらず動画撮影をやめない学生客、予約ツールが多様化したことにより起こる10〜20名以上の無断・前日キャンセルが続き店側は疲弊する一方だ。

「無断キャンセルや学生の泥酔客はまだ許容範囲です。もっとヤバかったのが……」

ため息をつきながら語る彼は、一体どんな迷惑客に出くわしてきたのだろうか。

後半では、長年飲食業に従事する彼が見たトンデモ非常識客と、迷惑客を跳ね返す独自ルールについて伺っていく。

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「この業界にいると数年に一度、ガチで厄介な迷惑客に出くわすことがあるんです」

何かを諦めるように淡々と話す正吾さん。詳細を聞くことにした。

「2年前ですかね。世の中がウィズコロナになりつつある頃、30代男性の4名グループが来店しました。学生時代からの友人らしく、4人のうちのAとBが激しい口論になったんです。理由は、Aが仕事について熱く語りすぎたせいでBがウンザリしてキレたから。Bはあまり仕事がうまくいってなかったみたいで、Aから『お前さぁ、30代になったんだから適当に過ごしてんじゃねぇよ』と言われてキレちゃって、もみ合いになって大騒動ですよ。椅子2脚が折れ、4〜5枚の皿が割れました。残りの二人も仲裁には入ってましたがAとBの喧嘩は収まらず、ほかのテーブル客も怯えて、退店していくグループが3組ほどいました」

近くにいたスタッフから聞いた話によると、Bはコロナの影響で大幅な給与カットを受け住宅ローンを払うのもギリギリ、家庭内の雰囲気もよくなかった。気晴らしになるはずだった飲み会で大騒動を起こしてしまうほど精神状態は安定していなかったようだ。

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「仲裁に入った二人が謝罪してくれて、壊された椅子2脚と皿の代金は後日Aが支払いにきてくれました。この事件は警察を呼ばず大事に至らなかった稀なケースです。酔っ払いの器物損壊だと弁償を拒否された場合や金額に合意できない場合、警察への通報や法的手段も考えないといけませんから」

泥酔客や器物損壊のような迷惑客に対し、店側はどのように対応すればよいだろうか。

周囲に迷惑をかける行為が見受けられた場合、飲食店がやるべきことは「お声かけ」だ。迷惑客に対し小さな声で注意し、自身の行動に配慮してもらうよう促す。

実は、何度も来店し迷惑行為を繰り返す客に対して最悪「出禁」にしても違法行為には当たらないのだ。

「ウチの店舗でも出禁客は数名います。自宅が近いため月2回ペースで来店する一人の常連客がいたんですけど、その男性は4杯ほど飲むと酒癖が出始めて隣の客に絡んだり気に食わないことがあると喧嘩口調になったり......。酔いすぎてトイレを汚すことが何回もあったため、仕方なく出禁にしました。トイレを汚すっていうのは、尿が飛び散って的を射ていない感じですかね......。初めて見たとき『何事⁉』と驚愕しましたよ。出禁になったことによりGoogleの口コミに低評価をつけられるのではと怯えていましたが、今のところ大丈夫そうです。なかには悪質なコメントをする人もいますし、来店きっかけが口コミがよかったからと言う人もいるので、接客には気をつけるようスタッフを教育しています」

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飲食店で働く以上、迷惑客の対応をしなければならないケースは多い。

出禁以外の迷惑客対策では、店独自の対策法があるという。

「ウチでは『ほかのお客様の迷惑になるような動画撮影はおやめください』などの張り紙をしていますね。意外と多いのが『隣の客の動画に自分が映ってしまい、それがSNSに投稿されるのは嫌だ』といった意見です。一般的に考えても、自分の容姿が不特定多数に発信されるのって嫌ですもんね。そのほか、悪質なクレーム客の対応は店長や若すぎない男性社員がおこなうなどのクレームマニュアルがあります。店長の立場上、迷惑客の対応をしながら従業員を守らないといけないので臨機応変に対処できるよう努めていますね」

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「港区寿司屋のように、悪い話でSNSでバズってしまうと最悪お店が潰れることだってあり得ます。明日は我が身ですよ。SNSは上手に活用すれば集客が最大化できますが、最近は良いことよりも悪いニュースや出来事ばかり拡散されてしまいますからね」

SNSのショート動画の盛り上がりによって、約1分間でインパクトがありバズる動画を生み出さなければといった承認欲求により迷惑行為がエスカレートしてしまうケースがある。

常識を逸脱した行為は「おふざけでした」では済まされず、多額の損害賠償を請求される可能性だってあるのだ。

危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は、飲食店での迷惑行為について警鐘を鳴らす。

「近年は、犯罪意識の低下が指摘されています。飲食店内での迷惑行為は犯罪といった意識が薄いため、行為自体を軽視している若者が増えているのです。具体的な迷惑行為の例は、店員への暴言・暴力、食器や備品の破損、過度な食べ残し、騒音、動画撮影などが挙げられます。迷惑行為は飲食店の経営を圧迫するだけでなく、その場に居合わせたほかの客を不快にさせてしまいます。多額の損害賠償を請求されるケースもあるため、SNSは一人の人生を台無しにしてしまうほどの破壊力があることを肝に銘じないといけません」

SNSで話題になる飲食店の迷惑行為。

あらかじめ店内でのルールを設ける店舗が今後増えていくのかもしれない。
 



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