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「今年もバカやった奴多かったな~」ネット炎上の賞味期限をゆうに超えたあの事件で分かった、その心理とは?

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講演、メディア出演、執筆などを通じて、炎上の「火消し」からフェイクニュース対策まで幅広く発信している小木曽健氏によるネットニュース分析、推察コラム。

「M-1」が終わると一気に年の瀬ムードですが、今年のネット炎上界隈を振り返ってみると、もう圧倒的に「スシロー寿司ペロ」が強烈な爪痕を残した1年でしたね。

「や、その話題はもういいよ」という方、わかります。ですよね。でもあの炎上って今後、日本のネット史に残るであろう非常にレアなケースであり、しかも今なお現在進行形で珍現象を引き起こしている特殊事例でもあるのです。今年を締めくくる意味で振り返ってみましょう。

実はネット炎上には「賞味期限」があります。たいていは発生から2~3か月が賞味期限。それ以降には世の中の関心がほぼゼロになる、忘れちゃう。

例えば皆さん、今年の春頃に起きたネット炎上を何か一つでも思い出せます? 「Soup Stock Tokyo」の炎上とか、もうすっかり忘れているのでは? でもそれでOK、それが正解です。何しろほとんどの炎上は「自分に関係のないバカ騒ぎ」ですから。

世間って、自分に関係のないバカ騒ぎをせいぜい2か月、頑張っても3か月程度しか覚えていられないのです(メディアの記者さんに言わせれば「もっと短いよ」だそうですが)。だって皆、忙しいですからね。むしろ2~3か月も覚えていれば偉い方でしょう。

つまり自分に関係のないバカ騒ぎの代表格であるネット炎上も、2~3か月で世の中から忘れられてしまうということ。実際ネット上の情報流通を分析すると、2~3か月経過でその炎上を報じる記事やSNS投稿が激減、ほぼゼロになります。世の中が炎上を忘れてくれる瞬間です。

ところがあの寿司ペロ炎上は、この「炎上の賞味期限」の壁をあっさり乗り越えてしまった。

「炎上と言えば……?」と聞いてみた

私、講演先で「ネット炎上と聞いて、まず何を思い出しますか?」と定期的に聞いているのですが、今年の1月以降、つまりあの事件以降は、大人も子供もその殆どが「スシローの炎上」と答えるようになりました。

そりゃまあ当時はね、あの大騒ぎでしたからそう答えるのも当然なんですが、騒動から3か月どころか11ヶ月も経過した現在でも、やっぱり「炎上と言えば?」「スシロー」「寿司ペロ」という答えが返ってくる。みんな未だに覚えているのはなぜなのか……これ、ちゃんと理由があるのです。

実は世間にとって「スシロー炎上」って「自分に関係のないバカ騒ぎ」ではないんですよ。だって舞台は大人も子供も大好きな「回転寿司」ですからね。誰もがよく行き、よく食べる。

「今週行くあの店だって、知らないところでチューチューペロペロされているのかしら…… 」。そんな疑心暗鬼を抱かせた瞬間に、その炎上は「自分に関係のある」バカ騒ぎ、自分事になってしまう。簡単に忘れられない、いつまでも頭に残って不愉快。そんなストレスを全国規模でバラまいてしてしまったのが、あの寿司ペロ炎上だったのです。

そう考えると、もしあの炎上が庶民的な回転寿司ではなく、東京の銀座や大阪の北新地の「超高級すし店で起きた寿司ペロ事件」だったら、今頃はきっと誰も覚えていないハズです。だってそんな高い寿司屋に行ける人は限られますからね。自分に関係のないバカ騒ぎなんて、すぐに忘れちゃう。

まあ、だからと言って「炎上するなら場所を選べ」という話にはなりませんけどね。スシローだろうが銀座久兵衛だろうが、ペロペロしてはダメ。

さてみなさま、今年も大変お世話になりました。来年がみなさまにとって良い年となり、プーチンが失脚してウクライナ侵攻が収束し、中国も何らかの事情で台湾を諦め、防衛増税が無くなり、原油価格が下がった結果、少子高齢化対策と地域問題に全振りできる1年となることを願ってやみません。

ホント、来年はどんな年になるんでしょうね……。

Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)

※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです

 



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