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「いつまで言ってんの?」リュウジ氏が炙り出したお約束ネタ「反・味の素」「反・ワクチン」、そして「反・食品添加物」の人たち

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講演、メディア出演、執筆などを通じて、炎上の「火消し」からフェイクニュース対策まで幅広く発信している小木曽健氏によるネットニュース分析、推察コラム。

先日、料理研究家のリュウジ氏が(また)炎上しました。そもそもリュウジ氏、強めのメッセージを短い言葉で発信しては、その反響や騒動を楽しむという、ちょっと武闘派なお人柄なんですよね。

私、氏のレシピには日頃からお世話になっており、また氏のネット炎上はエンタメでもあるので、騒動は毎回欠かさずウォッチしています。

今回も「『味の素』が体に悪いと言っている人、もれなく反ワクチン」という、もう完全に当たりにいってるとしか思えない投稿で見事に炎上、狂信的な味の素アンチ、単に「味の素を使わない」だけの穏健派アンチ、ついでに「反ワク」界隈も巻き込んでの殴り合いとなりました。

ちなみにリュウジ氏、日頃からレシピで味の素を使いまくっている為、常に「味の素アンチ」からのバッシングを受けており、また氏もアンチを煽る戦いを繰り広げているので、もはやeスポーツみたいになっています。

さて……ここから先は「味の素は体に害だ」「ガンを誘発する」「証拠もあるんだから」という方は読まないで欲しい。と言うか読まないで下さい。なにとぞ「戻る」ボタンでお引き取りを。ちゃんと言いましたからね。

では改めて。言うまでもなく味の素が体に害を与えるという話は噴飯モノのフェイクです。摂取し過ぎるとヤバいというのも「仮に1日あたり1瓶なめたら」レベルの話。水だって飲み過ぎたら「水中毒」という症状を起こして死にます。

始まりは「中華料理店症候群」なんですよね

60年代後半のアメリカで、中華料理店で食事をした人が体調不良となり、原因は店で使われていた味の素だったという論文、いわゆる「中華料理店症候群」。今では科学的にも完全否定されているフェイクですが、味の素の風評被害はそこから始まりました。一企業が被った風評被害としては史上最悪、最長レベルでしょう。

またかつて使用されていた「化学調味料」という名称も不運でした。当時「化学」は新しいもの、素晴らしいものというニュアンスのある単語でしたが、公害や化学事故などで、いつの間にか「化学」=体に悪いもの、という負のイメージになってしまったのです。

昭和の時代には「味の素は石油から作られている」なんてデマすら存在しました。誤った論文、不運な単語イメージだけで、サトウキビから抽出したうまみ成分(グルタミン酸ナトリウム)が、長年に渡り「化学合成された有害調味料」的なフェイク被害に遭うなんて、ちょっと怖すぎでは。

そして平成、令和と時を経ても、この伝統的なフェイクを信じ、味の素を蛇蝎のごとく嫌うアンチさん達がいます。なぜなら手を替え品を替え「味の素は体に悪いよ」というフェイク、新ネタが未だに開発され続けているから。

だってフェイクは儲かるんだもの。騙される人たちが記事を読み、本を選び、食品を買ってくれる。だからフェイクはやめられない。今回のリュウジ氏の発言、もうちょっと言葉を補足すれば、

「『味の素』が体に悪いというデマを、検証もせずに信じ込み、その主張を他人にも押し付けてくる人は、まるで反ワクチン界隈の人たちみたいデスネー」

といったところでしょう。反ワクチン界隈が、ワクチンを打つと「5Gにつながる」「体に磁石が付く」といった荒唐無稽なフェイクや「ワクチンに効果が無かった」「死者は増えた」等のそれらしいデマを信じているのも、ワクチンに関するフェイクが未だに製造され続けているからです。だって儲かるし。

味の素もワクチンも嫌なら避ければ良い、自由、誰も強制しません。ただ誤った情報を拡散させ、他人に押し付けたり攻撃したりするのはダメ。特に味の素に関するデマを発信している人なんて、味の素が訴えたら普通に負けますよ。賠償金もそれなりの額でしょう。

味の素に限らず、保存料や食品添加物もやたらバッシングされがちですが、いずれも国が定めた基準内で使われており、食べ続けても体に害がないことは言うまでもありません。逆にもし保存料や添加物を使わなくなったら、流通過程で多くの食品が腐り、廃棄され、また食中毒で多くの人が亡くなるでしょう。全然ダメですよね。

やたら「無添加」を崇拝する風潮って考え物ですよ、ホントに。

 

Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)

※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです

 



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