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「ほんとにいったい何が気に食わないのか?」東大生のグラビアをバッシングする人たち。その正体とその理由とは?

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講演、メディア出演、執筆などを通じて、炎上の「火消し」からフェイクニュース対策まで幅広く発信している小木曽健氏によるネットニュース分析、推察コラム。

先日、2020年のミス東大であり、今も現役学生である神谷明采さんが写真週刊誌でグラビアを披露、なぜかSNSでバッシングされるという謎のムーブメントが話題となりました。

東大生モデルのグラビア撮影。いったい何が気に食わなかったのか、最初まったく理解できなかったのですが、実は彼女、かつてミスコンにエントリーしていた際に内部のセクハラや不手際を告発、運営側とバチバチやって話題になった方なんですね。

当時のネットでも大きく取り上げられ、ジャンヌ・ダルクっぽい自立した女性として「一部界隈」が絶賛。そしてどうやら……今回彼女をバッシングしているのも同じ「一部界隈」の人たち、みたいなんです、わぁ。例えば、

「ミスコン運営のセクハラにも負けない知的な女性だったのに、男に媚びて性的消費でカネを稼ぐなんて」

いや、あの、普通にグラビアタレントとその業界に対する職業差別だし、あと知的云々って、つまりおバカな女性ならグラビアOKと言うことかしら? それこそ完全なる職業差別ですね。ちなみに「男に媚びて」はあなたがそう決め付けているだけです。

他にも「せっかく東大まで行ってグラビアなんてもったいない」「知性の無駄遣い」なんていうコメントもありましたが、普通に大きなお世話ですよね。あなたには関係のない、責任も取れない他人様の人生であり、やっぱり職業差別だし。さらには、

「こうなる(批判される)と分かっていただろうに、なぜやったんだ」

はい出た、批判されるからやるべきではない。しれっとカジュアルに表現の自由を否定してくれましたね。言うまでもなくグラビアも憲法で保障された表現の自由です、バッチリ含まれます。批判されるからやめろって、モノを言えないディストピア直結ですけど大丈夫なんでしょうか。

がんばって色々な批判コメントを探してみたのですが、いずれもツッコミどころ満載、結局どの批判も「あなたには関係ないよね?」「あなたは神谷さんではないよね?」で終わってしまうものばかりでした。

いつも不思議なんですが、こういう批判をする界隈って、若い男性タレントがグラビアで同じことやっても、文句一つ言わずに眺めているんですよね。もちろん昨今のジャニーズ問題にもダンマリです。

強い方なのかもしれませんが

当の神谷さんご本人は、訳の分からないクレームにも丁寧なコメントで対応し、それが結果的に好感度を上げ、また今回の騒動の最中に、実の4姉妹で旅行に行った写真を投稿、「妹がミスコンにエントリーしているので応援して欲しい」と宣伝するなど、バッシングすら踏み台にする逞しさ、つまりちゃんと戦略の伴った危機管理をされている方のようです。

件のグラビア書籍もこの騒動で注目を集め、売れ行きも好調みたいで良かったですが、あの……今回バッシングしていた人たちって、もう木村花さんの事件を忘れちゃったんでしょうか? あんな悲しい出来事から何も学んでいないんですかね?

違法でもない、反社会的でもないグラビア撮影に対し、勝手な理屈で人格を否定するような中傷を投げつけ罵倒する。その殆どは訴えられたり捕まったりする内容ではありませんが、でも、それで人が亡くなることがあるんですよ。知ってますよね?

デコピンだって10万人にやられたら、普通に死ぬ。違法性のない誹謗中傷ってそういうモノです。神谷さんだって今回の騒動でストレスを感じなかったハズはないし、傷付いていないワケもないでしょう。

表現の自由は大切であり、それと同じくらい相手に対する気遣い、想像力も大切。どっちも全力でお願いします。もういい加減学びませんか。

ちなみに私の取材経験から言わせて頂くと、誹謗中傷している人は漏れなくヒマ人であり、かつ「自分はもっと評価されるべきなのに」と悶々としているような人たちでした。他人を攻撃することで、自分の存在価値を醸成しようとしている、非常に残念な……。

 

Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)

※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。

 



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