■電動車ならばすぐに採用できるはず!!
停車する際は、Pレンジのスイッチを押して車両をスタンバイ(E-PKBもONになる)状態にし、シートベルトを外してクルマを降り、ドアを閉じれば、クルマはシャットダウンします。スタートスイッチがなくなってしまった感覚は、たとえるなら、自動でパーキングブレーキのON/OFFをしてくれる電動パーキングブレーキを最初に体感したときのような感覚に近いかもしれません。
この方式はバッテリーEVでしかできないわけではなく、ハイブリッド車やPHEVといった電動車ならば、すぐにでも採用できるはず。今回はフォルクスワーゲンが先陣を切ったわけですが、今後はスタートスイッチを残すべきか否か、それぞれの自動車メーカーで議論がされていく(もしくはすでにされている)ことでしょう。
■そうはいっても、スイッチは無くさないほうがよいこともある
先ほどもすこし触れたように、近年は、ナビゲーションやオーディオ、エアコンなどの物理スイッチを排除し、液晶タッチパネルのなかに取り込んでいくクルマが増えてきました。センターインパネやダッシュボードにたくさん並んでいた物理スイッチを無くすことで、インテリアの見栄えは先進的ですっきりしますが(スイッチの材料コストも下げられる)、操作性はイマイチなものがあります。
スタートスイッチについては、筆者はなくても「大アリ」だと思いましたが、同じフォルクスワーゲンのゴルフ8から導入されたタッチパネル式コントローラーについては、操作性について納得できません。
走行中の揺れる車内で、前を向いたまま、なんの凹凸もない液晶画面の上でパネル操作をするなど、操作性がいいはずがなく、「音声やジェスチャーでも操作できる」とするもののもありますが、筆者はスイッチを手で操作したほうが正確かつ早いと感じますし、うまく伝わらないなどで余計なストレスを感じる可能性もあります。
スタートスイッチどころか、テスラの新型モデル3ではさらに、ウインカーレバーやシフトレバー、スイッチなど全ての機能を、大型センター液晶ディスプレイやステアリングスイッチへ埋め込んでしまっており、どういった操作性となっているのかは、非常に興味深いところ。
シフトレバー、ウインカーレバーまでなくなったクルマまで登場するいま、この先どういったUI(ユーザーインターフェイス)が登場するのかは、今後楽しみなところです。
Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:VW、TOYOTA、TESLA