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フェイクニュースに「騙されない」「拡散させない」人の特徴とは?

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講演、メディア出演、執筆などを通じて、炎上の「火消し」からフェイクニュース対策まで幅広く発信している小木曽健氏によるネットニュース分析、推察コラム。

先週「新聞にフェイクニュースはありません」「純度100%の情報源は新聞だけ」という北海道新聞の広告がSNSで話題となりました。うん、なんか凄いですね。

この広告、実は数年前に作成されたもので、当時もSNSで話題になったんですが、その強烈なインパクトから時を超え、今回またネットで注目を集めたのでした。だって凄いんだもの。

あ、別に北海道新聞を腐すつもりはなく、ただ単に凄いなあと。そもそも人間のやることに絶対はないし、何より「情報」というモノの本質を理解していれば、とてもじゃないけど「フェイクニュースはない」とか「純度100%」なんてカジュアルに断言できませんからね。

これは以前「分かりやすい例」として紹介したエピソードですが、

「福島は危険。子供や妊婦は住むべきではない」と国連が報告

「福島は安全。健康被害は起きておらず問題ない」と国連が報告

実はこれ、どっちも正解です。1つ目は「国連人権理事会」の特別報告者が提出した報告書。2つ目は「原子放射線の影響に関する国連科学委員会」による報告書。科学的エビデンスがあるのは後者なんですが、「国連が言っている」という点においてはいずれも「事実」です。

つまり世の中には、本当でもウソでもない「それ以外」の要素があるということ。これは情報リテラシーにおける基本の「キ」です。情報には、何らかの背景、視点が秘伝の隠し味のように練り込まれており、そこまで理解・解説して初めて「純度100%」と言い切れるワケで、だから凄いなあと……

突然、火山が大噴火!

話は変わりますが、もし突然、みなさんの目の前で火山が噴火したら、その状況をどう伝えますか?

「目の前が急に真っ黒になってさ!雷みたいな音もしたよ!」

「噴煙に囲まれ、轟音が聞こえました」

「噴火した」

恐らく伝え方は人それぞれ、十人十色でしょう。場合によっては「……」(伝えない)という人もいるはず。つまり情報には、発信者の個性や意志が無意識(or意図的)に反映されている、これも情報の基本です。もちろんこの点においては、マスメディアだって例外ではありません。

だって同じ話題を取り上げているのに、メディア毎にその内容・伝える温度が違うって、そういうことですよね。「ある事案」を意図的に報じなかったことが、いま問題となっていますよね。そういうことです。

情報には「背景」があり、伝える人の「個性・意志」が含まれる。これだけでもお腹一杯なのに、そこにフェイクニュースが紛れ込んでいるワケで、もはやインフォメーション魑魅魍魎、情報無限地獄です。

「騙されない人」ってどんな人?

それでも数年前までは、フェイクを見分ける「作法」(発信元は信頼できる専門家? その画像は流用では?)が存在していました。ですが残念ながら、新型コロナと生成AIですべて吹き飛んだ。陰謀論にハマる医師、ゼロから作られる実写並みの画像・動画……そんなモノの前では「作法」なんて無力でしたね。うーん、ホントに私たちはどうすれば良いの?

実はこんな状況でも「フェイクに騙されない人々」がいます。彼らはみな即断しない人たち。飛びつきたい情報でもグッと堪え、判断を保留する人たちです。

だって数日も待てば、然るべき人たちが派手な殴り合いで白黒付けてくれますからね。それまで判断を保留して待つ。急いでジャッジする理由なんてありません。保留=フェイクの拡散だって抑制できます。素晴らしい。これが今、フェイクに対抗しうる確実な手段です。保留力、今日から誰でも試せます。

そしてもう一つ、実はフェイクニュースに騙されない人って、たいてい「自分は騙されるかもしれない」と用心している人なんですよね(逆に「私は騙されない」って自信満々の人がアッサリ騙されている姿、よく見かけます)。

そもそも私たちはオールマイティーな専門家ではありません。たいていの人は医学者でも法律家でも軍事専門家でもない。論文や法令を読み解いたり、戦況を判断するなんて出来なくて当たり前。それなのにみんな頑張ってやっちゃう。そこにフェイクニュースが付け入るのです。

自分は騙されるかも、だから保留するのだ。これはネット・SNS時代において、超重要なスキルです。

 

Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)
※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。

 

 



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