雅美さんの言葉は、熱と過激さを帯びる。
「私の目の前にいる子どもたちは、別に悪い子たちではないと思います。悪くなる気力もないというか。一生懸命スマホのゲームをしている子に、『熱心にゲームしてるね。楽しそうだね。先生もやってみようかな』と言ってみたら、『別に楽しくないよ。やることないからやってるけど、飽きたし面倒だし』と返されて、絶句してしまいました。」
雅美さんのため息はいよいよ深くなっていく。
「悪い子ではなくて、悪気はなくても悪事は働いてしまいます。『悪いと思っていなかった』というのが、彼らが決まって口にすることですね」
そう投げやりに言うのは、雅美さんとはまた別の『底辺校』に勤めている裕紀さん(仮名・58歳)だ。
「うちみたいな学校の生徒たちの中には、保護者が高校に行かなかった人も少なくない。それで、『高校に進学した我が子ほど偉い者はない』と考えています。
ですから、『おたくのお子さんが、こういった問題を起こしました』と連絡しても、『うちの子がそんなことするわけない!』とか『うちの子がそんなことをしたのは、学校側の教育が悪い!』と逆ギレされることが多いです。
そういう親の元で育った子どもたちはまず、自分の非は認めない。誰かのせいにする。そういう状況がもう、ここ5年ほど常態化しています」
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