■たくさん荷物が積めて走行性能も高いステーションワゴンは、欧州では定番
ステーションワゴンの需要が低い日本と違い、バカンスでロングツーリングに出かける習慣が定着している欧州では、ステーションワゴンはいまも人気のボディスタイルです。特にドイツでは、高速道路が無料(一部車両除く)であり、そのアベレージスピードも日本よりも高いため、たくさんの荷物が積めて、かつ走行性能も高いステーションワゴンが便利なのです。
ドイツの3大高級車メーカー、いわゆるジャーマン3(メルセデス、BMW、アウディ)は、セダンとともにステーションワゴンもラインアップさせていて、エレガントなスタイリングと機能性の両方を楽しめるモデルとして長きにわたって定着しています。同じ欧州でも、筆者の住むイタリアやお隣のフランスの場合は、大都市ではハッチバックのコンパクトカーが中心になるため、地方都市であればステーションワゴンが人気、といった印象です。
■近年のトレンドがしっかりと反映されているスタイル
しかし近年は、SUVが乗用車の定番となってきており、ステーションワゴンは「古臭いスタイル」というイメージがぬぐえない印象もあります。ジャーマン3のように伝統的にステーションワゴンを設定しているモデルであればブランド力で売ることができますが、今回初めてグローバルモデルとなったクラウンは、日本以外では新参者。もっと新鮮な印象が必要です。
その点、新型クラウンエステートは、基本的にステーションワゴンのフォルムではあるものの、やや車高の高いSUVスタイルを取り入れています。トラディショナルなステーションワゴンにみられる落ち着きと風格、流麗さに加え、SUVのアクティブで力強い要素をクロスオーバーさせており、新鮮な印象。
ブランドイメージが足を引っ張る、ということもなく、「クラウンのステーションワゴンはこういうデザインだ」という訴求も可能です。ちなみに「エステート」は、イギリス英語のステーションワゴンを意味するもの。欧州のワゴン市場に攻勢をかけるトヨタの意気込みが感じられるネーミングです。