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FASHION 僕が捨てなかった服

【タニノクリスチー】同僚に半ば強引に譲らせた、15万円の名作ブーツ

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人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。

3万円+何度かの飲み代で手に入れました

編集長干場が、お洒落だけにとどまらず、どんな所作が美しいのか、色気とは何か、男の美学とは何かなどについて教えを乞い、"人生の師匠"と公言するビームスの無藤和彦さん。

現在は、ブリッラ ペル イル グストのディレクターを務め、50歳を過ぎても「モテるためにはどうすべきか」をテーマに、自然体でかっこ良いスタイリングを意識しながら商品ディレクションに携わる無藤さんが、思い入れが強くて捨てられなかった服をご紹介する企画の第8回目は、タニノクリスチー(TANINO CRISCI)のジップアップブーツです。

「渋谷のビームス クロージングサロンで働いていた頃に、同僚のスタッフが履いていたものを譲って貰ったサイドジップブーツです。

当時、タニノクリスチーはビームスではローファーのみ取扱いがありました。あの頃ってオールデンのカーフのローファーが4万3000円、コードバンのローファーが5万6000円に対して、タニノクリスチーは6万9000円もしました。

このブランド知らないけど、すごく高くて、綺麗な靴だなって憧れていたんですが、ある日その同僚がスーツにこのブーツを合わせて履いていて、とにかくカッコ良かったんです。

それで、彼に売ってくれるように何度も何度も頼み倒して、なかば強引に譲って頂きました。

おそらく定価は15万円ほどだったかと思いますが、確か3万円で譲ってもらったのかな。あと何回か飲み代も奢りました。

しばらくは気に入って履いていましたが、だんだんコバが張っていないのが気になり出し、着る服と合わなくなったからなのか、あるときを境にまったく履かなくなりました。

ただ、きちんとシューツリーを入れて湿気の少ない高い位置で保管していたので、カビが生えることもなく綺麗に残っています。

ここ最近、サンローランなんかでもジップブーツでコバが張ってないモデルがリリースされていますが、かつてこのブーツを履いていたからか目が慣れていて、細身のデニムなんかに合わせるバランスも抵抗なく取り入れられています。

このブーツを履くまでは、ポールセンスコーンやジョージクレバリーのチャッカブーツみたいに、ある程度コバが張ったもの以外は取り入れにくかったんですが、視野が広がったのは良かったですね。

元が高かっただけあって、革質も素晴らしいし、作りも美しい。それと同僚に無理言って譲って頂いたものですから、これも手放すことはないと思います」。

ブリッラ ペル イル グスト(Brilla per il gusto) レーベルディレクター
無藤和彦

21歳でビームス入社。渋谷の店舗でキャリアをスタートし、1992年にドレス部門のバイヤー、2003年には遊び心のある大人に向けたレーベル「ブリッラ ペル イル グスト」のディレクターに就任。50歳を過ぎても「モテるためにはどうすべきか」をテーマに、自然体でかっこ良いスタイリングを意識しながら、商品ディレクションに生かす。1965年東京生まれ。

Photo:Shimpei Suzuki

Edit:Ryutaro Yanaka



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