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FASHION 僕が捨てなかった服

【アルマーニとアイクベーハー】ビームス無藤氏が「買わされた」思い出の品

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人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。

いまは絶対に着ませんが、思い出もあるせいか手放すことはできません

編集長干場が、お洒落だけにとどまらず、どんな所作が美しいのか、色気とは何か、男の美学とは何かなどについて教えを乞い、"人生の師匠"と公言するビームスの無藤和彦さん。

現在は、ブリッラ ペル イル グストのディレクターを務め、50歳を過ぎても「モテるためにはどうすべきか」をテーマに、自然体でカッコ良いスタイリングを意識しながら商品ディレクションに携わる無藤さんが、思い入れが強くて捨てられなかった服を紹介する企画の第1回目は、アイクベーハーのボタンダウンシャツと、アルマーニのネクタイです。

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たまたま電車で見かけたアルバイトの雑誌にビームスの社員募集が載っていまして、それに電話を掛けたら「明日、面接来られますか?」くらいの簡単な対応で、翌日受けに行ったんです。

1985年ころの話ですが、当時は面接を担当するような部署もまだなくて、僕を面接してくださったのは現ユナイテッドアローズ会長の重松(理)さん、栗野(宏文)さん、水野谷(弘一)さん、岩城(哲哉)さんの4人という、凄いメンバーでした。

それでいろいろお話をして面接を終えて帰宅したら、1時間ほどして電話が掛かってきまして、「無藤さんは合格にしますから、明日から来てください」なんて言われまして……。

その時点では、前の会社に勤務していたので「さすがに明日からは行かれないです」と答え、そこから前社の残務を片付けて翌年1986年の1月の終わりからビームスで働くことになるわけです。

いまはもうなくなってしまった渋谷の「ビームス クロージングサロン」という店舗の地下、スーツを販売するフロアでの勤務となるんですが、洋服なんてそれほど持ってなかったので、とりあえず持っていたジャケットを着て店頭に立ちました。

インナーくらいはビームスで扱う服を着なくてはと思い、何か買おうと悩んでいると……

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当時はパワハラなんて言葉も意識すらもなかった時代ですから、「お前はコレとコレを買えっ!」と 先輩に半ば無理矢理に買わされたのが、このアイクベーハーのシャツと、アルマーニのネクタイです(笑)。

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いま考えると、ネクタイは ちりめんっぽい素材感ですし、シャツはオックスフォードですから、全然合ってない Vゾーンなんです……。

ただ買わされてしまったので、ネイビーのジャケットにこのシャツとネクタイを合わせて しばらくは店頭に立ち続けました。

恐らくですが、このネクタイは その先輩が買おうと思って隠しキープしていたであろうアイテムだったんですが、気分が変わってしまって欲しくなくなったけど戻せないから、後輩の僕に押し付けたんでしょう(笑)。

その後、ジャケットを含め いろいろ購入するようになるんですが、ビームスに入社して初めて購入したのが、このセット。

ネクタイは、いまとなっては絶対にしませんが、クローゼットの一軍を収納するスペースに収まっていますし、アイクベーハーのシャツも身幅が大きすぎる上、胸ポケット位置も低すぎるので絶対に着られないんですが、捨てられずに残してあります。

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同じような時期に買ったものもたくさんあり、その辺はさすがに傷んだり、時代的に着られなくなって手放していますが、これらは思い出もあるせいか捨てることができないし、今後も手放すことはないと思います。

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ブリッラ ペル イル グスト(Brilla per il gusto) レーベルディレクター
無藤和彦

21歳でビームス入社。渋谷の店舗でキャリアをスタートし、1992年にドレス部門のバイヤー、2003年には遊び心のある大人に向けたレーベル「ブリッラ ペル イル グスト」のディレクターに就任。50歳を過ぎても「モテるためにはどうすべきか」をテーマに、自然体でカッコ良いスタイリングを意識しながら、商品ディレクションに生かす。1965年東京生まれ。

Photo:Shimpei Suzuki

Edit:Ryutaro Yanaka



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