エンドルフィンに似た脳内物質
エンドルフィンに似た脳内物質5つをご紹介します。
・ドーパミン
エンドルフィンと同じように、人を幸福にする作用があります。また「ワーキングメモリ」と呼ばれる脳の部分に深く関わっているため、ドーパミンが分泌されると情報処理能力や集中力、やる気が高まると言われています。精神的に報酬を得た時に分泌されるので、例えば自分がクリアしにくいと思われる目標を設定しその目標を達成すると良いでしょう。
・ノルアドレナリン、アドレナリン
エンドルフィンと同じように、両方とも身体や精神が限界まで追い詰められると分泌される特徴があります。ノルアドレナリンは主に脳に、アドレナリンは主に身体に作用します。ノルアドレナリンを分泌して脳の働きを高めたいときは、あるタスクに対して自ら〆切を課し自分を追い詰めると良いでしょう。またアドレナリンを分泌したい場合は、大声を出すと良いと言われています。よく重量挙げの選手やハンマー投げの選手が大声をあげて力を振り絞ることには、アドレナリンを出すためという理由があるのです。
・セロトニン、メラトニン
エンドルフィンと同じように、両方とも分泌されると心に安らぎを与えます。セロトニンを分泌する方法として有名なものが、朝起きた時に朝日を浴びる方法です。セロトニンは日光によって分泌が活性化されます。一方でメラトニンは日が落ちた夜に活性化します。メラトニンを分泌するには、眠るときは遮光カーテンなどを閉めて光のない状態にすると良いでしょう。どちらとも睡眠と覚醒をコントロールする役割を持つため、分泌バランスが崩れてしまうと一日中倦怠感を覚え、うつ病のようになってしまいます。
エンドルフィンを含む脳内物質の分泌を助ける食事
エンドルフィンは脂っぽいものや甘いものを食べすぎたりしてしまういわゆる「ドカ食い」で分泌が活性化されますが、それでは身体に毒です。
本当に身体が喜ぶ、健康的な食事を集中して摂るようにすると、身体にも脳にも良いエンドルフィンの分泌を可能にします。
そのためには以下のような食事が推奨されます。
・スムージー
ミキサーさえ持っていれば、バナナやリンゴ、ヨーグルトを投入するだけで、簡単にビタミンBやマグネシウムを摂ることができます。
・魚
魚はオメガ3脂肪酸を豊富に含んでいます。オメガ3脂肪酸は、セロトニンの生成に不可欠です。特にイワシやマグロの赤みに多く含まれるので、積極的に摂取するように心がけましょう。
エンドルフィンと「幸せ」のバランス
そもそも「幸せ」とはなんでしょうか?例えばモルヒネによる快感は「幸せ」に含まれるのでしょうか?
もちろん闘病などの際に、少しでも痛みを和らげるためにモルヒネを使う場合などは例外です。しかし、それ以外の人間ならば誰しもが体験する肉体的、精神的に追い詰められてしまうことは、モルヒネなどで解決するに値するのでしょうか。いつも「ドカ食い」ばかりしてしまったり、身体に刺激を与えることで(例えば辛いものばかり食べてしまうなど)快感を得ようとする考えはある種病的であり、持続可能な「幸せ」ではないでしょう。
長寿の人々は健康的に毎日笑顔で生きることを楽しんでいるように見えます。彼らは適度な運動、健康的な食事、習慣的にリラックスタイムを設けるなどを心がけている場合が多いです。そのような生活はエンドルフィンの分泌を自然と助けています。
したがって過度に、中毒的に「幸せ」を求め、エンドルフィンを分泌するのではなく、あくまで健康的に楽しいことを求めて、エンドルフィンを活性化させることが真の「幸せ」に近づく方法であると考えられます。
まとめ
いかがだったでしょうか。脳内で“麻薬”を作ることができるなんて、知らなかった方も多かったと思います。また、「ドカ食い」やセックスの快感が、まさか脳内物質のエンドルフィンによるものだったなんて意外に思われた方も多くいたでしょう。
しかし決してそのように過度なエンドルフィンの分泌に依存し、理性を失うことがないように、バランスよく幸せになることが人生において大切なことではないでしょうか。
Photo : Getty Images
Text : H.M