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FASHION 僕が捨てなかった服

【今では想像できない…】ブリティッシュスーツに 大きくて重いドクターバッグで満員電車通勤!?

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人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。

当時のブリティッシュスタイルにはドクターバッグが欠かせませんでした

人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。成毛賢次さんに続いて登場するのは、ビームスのクリエイティブディレクター、中村達也さん

中村さんが膨大な数を所有してきた中でも捨てられなかった服をご紹介する企画の第7回目は、ドルフィンのダレスバッグです。

80年代の後半ぐらいから90年代にかけて、今では信じがたいですが、いわゆるドクターバッグというバッグが売れた時代がありました。90年代に入ってイタリアンクラシックが流行ってからは、イタリアモノでフラップオーバーの柔らかい革を使ったバッグが入ってきたのですが、それ以前はスーツスタイルに合わせるバッグと言えば、ドクターバッグでした。

ビームスFでもよく売れましたし、他のセレクトショップや、信濃屋さん、銀座・和光さんなどの老舗にも置かれていた時代だったのです。

これはビームスFで展開したイギリスの「ドルフィン」というブランドのモノ。ブライドルレザーに注目が集まる一方で、傷が目立ちにくいストローグレインという型押しの革で、麦の穂のように型押しがされていたモノが、かつては本当によく売れましたね。

僕も3つボタンのブリティッシュ型のスーツが流行り出した頃、当時はナイロンのバッグや、「コーチ」のようなグローブレザーのバッグ、「トラファルガー」のようなキャンバスとレザーがコンビニなったバッグが売れていた時代でしたが、「やっぱりドクターバッグだろ」と発起して、ヘビロテで使っていました。あまりに使い込み過ぎて、端の方はフレームの金具が剥き出しになってしまいました。

信じられないかとは思いますが、朝の満員電車にもこんな大きくて重いバッグを持って通勤していましたし、ブリティッシュ スーツによく合うバッグということで、当時は本当によく使っていました。今の僕からすると想像できないでしょうし、電車内では相当顰蹙を買っていたと思います…。

この「ドルフィン」以外にも「パップワース」というブランドや、「ホワイトハウスコックス」でも買い付けていたのですが、本当によく売れました。当時のビームスFでのベストセラー&定番バッグでした。

これと、オーダーで作った「ソメスサドル」のブライドルレザーでフラップオーバーのバッグも持っているのですが、この2つだけは手放さずにいまだに残っていますね。これも今後、絶対に使うことはないと思うのですが、捨てられないですね。

Photo:Naoto Otsubo

Edit:Ryutaro Yanaka


中村達也
ビームスクリエイティブディレクター
大学在学中よりBEAMSでアルバイトをし、卒業後ショップ勤務、店長、バイヤーを経て現在はクリエイティブディレクターとしてドレス部門を統括。メンズのドレスクロージングに関するセレクトや論理的な解説が持ち味で、媒体での連載や自身のブログ”ELEMENTS of STYLE”は絶大な人気を博している。


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