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FASHION ー 服飾歳時記

赤峰幸生の「服飾歳時記」

忙しさに酔うな。勉強の時間を持て。赤峰教授が語るオトコの生き方

2017.8.23
2017.8.23

梶が谷『めだか荘』から夏便り「40男は“クセを持ち味”にする」

わたのはなしべひらく  綿柎開  初候(8月23日~8月27日)
てんちはじめてさむし  天地始粛 中候(8月28日~9月1日)
こくものすなわちみのる 禾乃登  末候(9月2日~7日)

この時候の頭にくる“綿花”といえば私の仕事の領域。ご存知の通り、綿で有名なのはエジプト、インド、ペルーなどで、日本では江戸の中期に中国から伝わったと聞いています。綿花が咲くのは寒暖差を感じるこの頃、ある日突然、花が開きます。

8月終わりの週といえば、子どもの頃は宿題を片づけて、箱根・宮ノ下にあった叔父の別荘に母に連れられてよく泊まりに行きました。駅から別荘までの桜並木に蜩(ヒグラシ)の合唱がうるさいくらい。到着するとまずは大掃除から始めて、食料の買い出しに出かけ、湯元に頼んで温泉の蛇口を開けてもらうのがいつものパターン。窓をいっぱい開けて、ひのき風呂の湯船につかりながら遠くの竹林が真っ暗な中に動くさまが恐かったことを思い出します。そして東京に戻るとまだまだ暑く、連日、近くの日本大学水泳部のプールで泳いでいました。

当時の水着は母の手づくりで、着なくなったセーターをほどいて、手編みの毛糸の水着でした。デザインは紺地に白のボーダーが3cm幅で入り、ベルトは白のキャンバス地でした。毛糸ですからやはりチクチクするし、泳いでいるとウールの特性でどんどん縮んでしまってくるけれど、あのざらつき感が今ではなんだか忘れられない感触でした。古き良き時代だったのかもしれません。

パワーがある年齢は、生意気なぐらいがちょうどいい

FORZA STYLEは“40男”をターゲットにしていますが、自分の40代は、ブランド『グレンオーヴァー』全盛のときで、デザイナーやパタンナーなど商品企画が30人ぐらいいて、全部で70人ほどの社員が在籍していました。

この当時から自分はすべて「楷書体」主義で、基本を徹底的に教えました。今でもファッション業界に多くの門下生がいます。自分は「前人未踏」という言葉が好きで、誰かが作った轍(わだち)は歩きたくない。けもの道に俺が道を作るんだと意気込んでいました。

この連載でも紹介しましたが、当時のバーニーズ ニューヨークに服を売り込むためにアメリカへ渡ったり、イタリアでのモノ作りに取り組んだり、常に挑む気持ちを持っていたし、常に「現場主義」でした。

なぜそんなに熱くなれたかというと、日本人としてのプライドがあったからです。洋服の歴史は100年足らずの日本でしたが、本場の人に馬鹿にされたくない。今でもピッティ・ウオモの会場で、「ミスター赤峰は、脇差しを持っている」と言ってくれるのはジャパニーズとしてのプライドが見えるからでしょう。

当時の自分に比べて、今の40代や50代は挑む意識が弱い。相手に上手く合わせる優しさが前面にあって、嫌われたくないし、分かったふりが上手い。もっと本質的な「挑む人」が増えてほしいと思います。

生きることの本質は、人の役に立てること

振り返ってみると、20代や30代は、ただがむしゃらなだけ。40代になってやっとわかってきて、やってきたつもりでしたが、「本当にその通りなのか?」と自問自答の日々。そして50代になって、やっといろんなことが見えてきた。ずっと洋服の仕事をしてきましたが、洋服を含めた“衣食住”の本質が大切だと思い、知識がないと服を語れないなと感じていました。「生きること、暮らし、そして歴史を大事にしていきたい」と思ったのが50代半ばぐらいだったと思います。

生きる目的を考えたことはありますか? 生きることの本質は、「人の役に立てるか」です。だから自分は服を通して役に立ちたい。そう思って役に立つものが見えるようになってきたのが50代。今の世の中は役に立たないものが氾濫しすぎていますよ。

デザインカンパニー「インコントロ」のゲストルームの8月のディスプレイは『赤峰の海』がテーマ。イタリアのコモ、アマルフィー、カプリ、リド島、サンタマルゲリータなどをイメージしたビジュアル

今、40代、50代を一生懸命生きている人たちへ

ちょうど、干場義雅さんが40代なので、彼を例にとると、干場さんはいつも素直で、偏見もないナイスガイですが、次に必要なのは、干場さんのクセを出していくこと。そのクセのことを好きなヤツもいれば嫌いなヤツもいるけれど、クセを消すのではなく、“クセは持ち味”としてどんどん出していく。そうすれば次のステージは彼の味を出していけるはずです。

また40代、50代は働き盛りですが、「働」は「人が動く」と書くごとく、忙しい状態に酔っている人があまりに多い。10年なんてあっという間ですよ。それは一日一日の積み重ねで、公私とかオンオフとかは関係ない。朝ご飯がおいしい、昼ご飯はちゃんと食べる、夕飯は楽しく食べる、そして夜はちゃんとした時間にしっかり寝る。当たり前のことができていない男も多すぎます。

自分の40代、50代には後悔はありませんが、「もっとこうしたかった」はある。文化の根は言葉なので、外国語や歴史を含めて、勉強する時間を持つべきだった。私たちは見るモノでしか判断できません。「何が、どう良いのか」をきちんと言葉で伝えることに心がけてください。

赤峰さん曰く、「今では再現できない独特な編み地」という1920年代のポロシャツ&白ジャケットのコーディネートがゲストの目を楽しませます。

サマージャケット代わりのオープンカラーシャツ

サマージャケット代わりのオープンカラーシャツは、ロンドン・ジャーミンストリートで見つけた1940年代のヴィンテージもの。シャツなのに3パッチなのが洒落ていて、たぶん「ターンブル&アッサー」のシャツです。このデザインを気に入って「AKAMINE Royal Line」でオーダーで作った人もいます。

クールビズが定着して、サラリーマンの半袖シャツとスラックスは朝の通勤時間に見慣れた光景になってきましたが、本当に格好悪い。“もの申したいスタイル”の一つです。

次回、連載15回目は、9月8日頃の“白露(はくろ)”。新しい秋冬シーズンの立ち上がり時期なので、「秋グレイのスタイル極意」をご紹介します。お楽しみに!

Photo:Shimpei Suzuki
Writer:Makoto Kajii


ジャパン・ジェントルマンズ・ラウンジ
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