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「ジョン ロブ」「ドルチェ&ガッバーナ」のベルト
第11回(最終回)“隠居系”山田恒太郎の
僕が捨てなかった服

2016.11.9
2016.11.9

改めて、“エレガンス”と“スタイル”について

人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるのではないでしょうか。この連載では、本当に良い服、永く愛用できる服とは何かについての、僕なりの考えをお伝えしていきます。そして同時に、皆さんがワードローブを充実させ、各々のスタイルを構築するうえで、少しでもお役に立つことができれば嬉しい限りです。

これは「ジョン ロブ」のカーフのベルトです。僕がクラシックスーツに合わせるドレスシューズで、もっとも多く履いてきたのが「ジョン ロブ」のもの。このベルトも、クラシックスーツを着る際によく利用してきました。

こちらは「ドルチェ&ガッバーナ」。モード系の服を着る時に、ベルトループの広いパンツによく合わせていました。基本的にバックルのデザインが凝ったベルトはあまり使わないんですが、これだけは例外でした。

他には、以前レザーブルゾンで紹介した「ルッフォ」でも、レザー小物をよく購入しました。このグローブはソフトなナッパのもので、裏地はカシミア。暖かく肌触りがとても良いので、今でもグローブのなかではいちばんのお気に入りです。

これまでこの連載では、クラシックスーツを着こなす際の“エレガンス”の必要性や、各々の個性に合わせた“スタイル”を持つことの重要性について書いてきました。今回は、僕がこのような考えを持つに至った経緯や、関係者のコメントなどを紹介しながら、改めてこれらについて書いてみようと思います。

イタリアのフィレンツェで年2回開催される、「ピッティ・イマージネ・ウォモ」というメンズファッションの一大展示会があります。僕が初めて取材に訪れたのは1996年1月なんですが、その時に飛び抜けて素敵なスーツ姿の男性を見つけました。最高級のカシミアニットブランド、「マーロ」を手がけるメーカーの社長、アルフレッド・カネッサさんです。

彼を見かける時はほとんどいつも、すべて無地の、ネイビーのスーツに白かサックスブルーのシャツ、ネイビーのタイ、そしてダークブラウンの靴というコーディネイトでした。何の変哲もないごくありふれた組み合わせなんですが、「こんなにカッコ良くスーツを着こなす人は、そうはいない」と思わせるほど印象的でした。

このカッコ良さはどこから生まれるのか。その答えは、イタリアのサルト(仕立て職人)やクラシックスーツメーカーの関係者に話を聞くたびに頻繁に登場した、「エレガンテ(エレガント)」という言葉にありました。それまで男性の装いを「エレガント」と形容するのに慣れていなかったこともあって、最初は少し違和感を覚えたものです。この言葉の意味するところを理解しようと、インタビューでも繰り返し質問しました。その返答を、いくつかご紹介します。

「(エレガントなスーツスタイルとは)ハーモニーとバランス、美しい肉体、姿勢、自信に満ちた着こなしのすべてが揃ったものです」(フィレンツェの名店、「タイ・ユア・タイ」のオーナー、フランコ・ミヌッチさん)。

「洋服に着られるのではなく、洋服と体が一体になった着こなしを指します」(「チェーサレ アットリーニ」のス・ミズーラ責任者、ジュゼッペ・ダミツィオさん)。

「単にどういう靴を履いてどういう服を着ているかということではなく、身のこなしや振る舞い、着こなし方などの総合的なものです」(ローマの老舗オーダーシューズ専門店、「マリーニ」の当主、カルロ・マリーニさん)。

良い服を着るだけでなく、服とそれを着る人が一体となった時に、初めてエレガントな着こなしが生まれる。そのためには佇まいや動作などを含めた調和が必要であり、これらが高いレベルで融合した時に、先程触れたアルフレッド・カネッサさんのような、傑出したスーツスタイルが完成するということなのです。

このようなエレガントな着こなしを実現するためには、これまで何度も強調してきた、各々の“スタイル”も欠かすことはできません。これはクラシックスーツに限らず、どのような装いについても言えることです。

この点については、世界的ファッションデザイナーのトム・フォードさんも話をされています。僕がファッションエディターとして携わっていた雑誌『BRUTUS』から、彼が「グッチ」のクリエイティブディレクターだった時のインタビュー記事を引用します。

「ファッションデザイナーとして、こんなことを言ってはいけないのかもしれませんが、私が本当にスタイリッシュだと思うのは、ただファッションのトレンドを追うのではなく、自分が本当に良いと思うものを着ることだと思っています。(中略)トレンドを取り入れながらも振り回されることなく、自分が本当にいいと思うスタイルに自信を持つことがいちばん大切です」(『BRUTUS』2000年4月1日号)。

この連載では、何よりも品質にこだわって、流行り廃りに関係なく永く着られる、自分のスタイルに合った服を選ぶことをお勧めしてきました。このような考え方がすべてではありませんが、モード界を牽引するトップデザイナーにも同じような考えを持つ人がいるということで、よりご理解いただけるのではないでしょうか。

近頃は日本のファッションデザイナーにも、賞味期限が1シーズンに限られるようなデザイン重視の服ではなく、何シーズンも着ることを前提にした服作りをする方が増えてきているようです。僕はこのような考え方が、今後さらに広がっていくのではないかと思っています。皆さんもぜひ永く愛用できる良い服を選んで、ご自身なりの“スタイルのある装い”を楽しんでください。

Photo:Tatsuya Hamamura
Text:Kotaro Yamada

山田恒太郎(改め“隠居系”)
1990年代後半から『BRUTUS』、『Esquire日本版』、『LEON』、『GQ Japan』などで、ファッションエディターとしてそこそこ頑張る。スタイリストとしては、元内閣総理大臣などを担当。本厄をとっくに過ぎた2012年以降、次々病魔に冒され、ついに転地療養のため神戸に転居。快方に向かうかと思われた今年(2016年)4月、内服薬の副作用で「鬱血性心不全」を発症。三途の川に片足突っ込むも、なんとかこっちの世界に生還。「人生楽ありゃ苦もあるさ~♪」を痛感する、“隠居系”な日々。1964年生まれ。神戸市出身。

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