翌年はユースホステルで働きながら西日本をずっと旅して当時の最南端・与論島に行ってそこで野宿したりしながら、日本はもういいなって感じで。
それで海外にいきたいと思って、まずは北欧を目指しました。高校卒業して2、3日後に横浜から船でナホトカってところまで行って、それはロシアの船なんですけどね。
そこから汽車でハバロスクっていう西の首都があるんですけど、そこから5日間かけてシベリア鉄道でモスクワ行って、モスクワから今度はフィンランド行って、フィンランドからスウェーデン行って。
スウェーデンに行くと日本の男はモテるって聞いたので(笑)。僕は英語が出来るから、港沿いの綺麗なレストランでウェイターのバイトを始めたんです。
近くにオペラハウスってところがあって、そこにヒッピーがいっぱい集まってくるので、週末になるとそこに行ってみんなと話していましたね。
そしたら「モロッコはいいぞ」とか、「イスタンブールは最高だぞ」とか、「アフガニスタンはいいぞ」とか言われて、いてもたってもいられなくなっちゃって。
当時、高校を卒業して大学が決まってたんだけど、「大学は後からでも入れるし、ちょっと行っちゃおうかな」って気持ちになったんですよね。それに地図を見るとそれらの場所って全部繋がってるんですよ。日本みたいに島国じゃないから、なんかすぐに行けそうな気がしてしまって。そこからヨーロッパ縦断してイスタンブール行って、中東縦断して、アフガニスタン行って、インド行って帰ってきたんです。
山本:ものすごい行動力ですね。何ヶ月くらい行ってたんですか。
ロバート:半年です。お金がなくなったらポーカーで稼いで食いつないでいましたね。
それ以外で稼ぐのは危険ですからね。イランの砂漠でヒッチした運転手のおじちゃんが、「200ドル渡すからやらせろ」って言ってきたんですよ。あっちはアラブ圏だから女性とやれる機会がなかなかなく、男子が代替されるとのことで。
当時の僕は若くてカットオフジーンズで長髪だったから、そう見えてしまったんでしょうね。馬鹿ですよね、僕。アラブ圏をカットオフジーンズで旅しちゃいけない。
200ドルってところで一瞬考えましたけど(笑)、結局断りました。それで車を降ろされて砂漠を1人で歩かされたりして。
そうこうして、アフガニスタンに辿り着いた時には200ドルしかありませんでした。そのホテルでヒッピーたちが賭けポーカーをやってたんです。僕、昔からポーカー強かったし、「200ドルの元手で稼いでやろう」と思って参加しました。
やったらだんだん勝ってきて2000ドルくらいになったんですよ。そこでやめればいいのに最後に一番いい手がやってきて、大きい勝負に出ちゃったんですよね(笑)。
見るところによれば僕がフラッシュが揃いそうな中、彼は僕より強い手のフラッシュが出来上がっていたんです。でも実は僕は、フラッシュと見せかけてもっと強いフルハウスが出来上がりそうだったんですよ。
そして最後の最後についに来たんです! 2000ドル全部かけていたから一気に4000ドルになりました。当時の4000ドルってすごいお金なんですよ。今の4〜5倍はしますね。
山本:おぉ〜!
干場:4〜5倍だと今の200万くらいですか。
ロバート:そうですね、2万ドルですよね。まだ1ドルが365円の時だからもっとすごい。でももう貧乏旅行に慣れちゃったので、大金を手にしても豪遊することなく、その後もずっと汚いところに泊まりながら東京に帰ってきました。それで東京でディスコ行ったりしてパーッと使っちゃいましたね(笑)。
山本:まるで映画みたいですね。ポーカーって上手くなれるもんなんですか。
ロバート:ポーカーによります。戦略が必要な5枚以上のポーカーはやっているうちに上手くなることはできますね。セブンスタッドポーカーとかテキサスホールデムとかいうゲームです。
干場:あれポーカーって5枚じゃないんですか。
ロバート:5はベーシックですね。5枚でやるストレートポーカーの場合は運の要素が強いですよね。
7カードのポーカーは7枚で遊んで最後は5枚で勝負するんです。遊び方ももっと複雑で、賭ける回数が多くなるし、相手の賭け方で何を持っているか、何を待っているか、読むことが出来るんですよね。
そして最後は5枚のカードの手で勝負する。だから運だけではなく、テクニックやポーカーフェイスや相手を読む感のようなものも必要になってくるんです。
そういうポーカーやりながらオーストラリアで1年食べてましたね。でも僕、バックギャモンも強いんで、バックギャモンでもかなり稼いでましたね
干場:自由ですね。そんな人なかないないですよ。
ロバート:そうですね。好きなものは全部やっちゃうタイプなんで。
後編はロバート氏の「スタイルと女と人生観」。
お楽しみに!
photo:Mitsutoshi Watanabe
text:Makiko Yamamoto