多様性が謳われる現代、「結婚しない人生」も選択肢の一つとして尊重される時代となった。
一方で、結婚を熱望する男女、「子供を結婚させねば」と親が躍起になるケースも存在する。
危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこのように語る。
「今では結婚をあえてしない人も多くいますが、一つ世代をさかのぼると結婚はして当然で、それが人生の幸せという考えを持つ人が多くいます。その中で親は自分の子どもがどういう考えを持っているのか、話し合ってみる必要があるでしょう」
今回取材に応じてくれたのは、元CAの香織さん(仮名・52歳)だ。商社マンの夫を持つ彼女には一人娘・真子さん(仮名・24歳)がいる。
真子さんは幼少期にいじめに遭ったトラウマから異性との接触を拒み、男性との交際もできずにいた。そんな娘の将来を案じ、母の香織さんは膨大な金と労力を注ぎ、娘に婚活の徹底指導をしている。
香織さんは語る。
「娘の真子が10歳の時、商社に勤める夫の海外赴任のため、家族3人でジャカルタに行きました。現地スクールに通い始めて早々、同級生の男子生徒に『真子って、出っ歯でブスだよな!』とイジメられたそうです。
それをきっかけに、真子は『出っ歯』とあだ名がついてしまって……。娘はショックを受けつつも言い返せず、私に泣きついてきました。
私は娘を抱きしめ、『真子は十分可愛いわ。気にしちゃダメ』と慰めたのですが、結局は何の解決にもならず、むしろ真子の心の傷を深くしたようで、それが今も悔やまれて……」
香織さん自身「初めての海外赴任で余裕がなかった」とうなだれる。
5年間の赴任を終えて日本に帰った時、娘の真子さんは「共学はイヤ。女子高にして!」と懇願した。そして「お母さんには出っ歯やブスと言われ続けた私の気持ちなんて、なんも分かっちゃいない!」と大泣きされたという。