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LIFESTYLE 女たちの事件簿

「PTA会長は男」のルール撤廃→女親「やっぱり男性が適任」のちゃぶ台返し。真のフェミニストとは一体誰のことなのか?

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不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。

長年ゆるぎない社会教育団体として君臨してきたPTAは、現在大きな岐路に立たされている。役員負担や存在そのものの意義を問う声が年々高まり、上部組織を離脱する自治体や学校が後を絶たないのだ。

危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はPTAという大組織自体に問題が山積している一方で、各小組織にもさまざまな課題があると指摘する。

「お住まいの地域などによって違いはあるでしょうが、PTAは同じ役員・委員間でも仕事量に違いがあることで不公平感が生まれたり、会長職は男性で実働は女性といった不文律のある地域があったりするなど、現場ごとの運営についても前々から問題含みの団体なのですよね」

・・・・・・・・・・・・・・・

PTA問題についてご意見をお持ちの方は多いが、具体的な課題について取材を受けてくれる方を探していたところ、数年前に某小学校のPTA会長を務めたという40代の男性から話を聞くことができた。

「僕が会長をした年は、コロナに乗じて学校行事の見直しを進めたついでに、ノリで色んなことを変えてしまいましたが、次期に期待していた初の女性PTA会長誕生は達成できませんでした」

こう話すのは45歳の個人事業主・北尾康之さん(仮名)。

「僕は皆さんの先頭に立って組織を改革していくというようなタイプでは全くありませんが、同期の役員さんたちがいろいろ意見をくれて、学校側も『それでいいんじゃない?』という感じだったので、これまでのやり方をただ踏襲していただけのものや、みんなが変だなと感じていたことはどんどん変えていきました」

康之さんはくじ引きで会長に選出されたという。例年、立候補がなかった場合はくじ引きで役職を決めてきたそうだが、その年までは「会長あみだくじ」は男性だけが引いていた。
つまり「会長=男性」という暗黙のルールがあったというわけだ。

「会長立候補者が複数人出る年もあるらしいんですが、僕の年は『会長だけはイヤ』って方ばかりだったので、やむを得ずあみだくじをしました。で、僕がしっかり引いてしまったんですね」

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©Getty images

1年間PTA会長の仕事をこなすのは想像以上に大変だった。行事での挨拶や上部組織のイベント・会合への出席のほか、PTA会費の管理や予算づくり、パトロール・町内行事・会議への参加など盛りだくさんだったという。

「うちは自宅で商売をしていますので、妻の助けも借りながら何とか時間をつくりました。でもこれ、勤め人の方では会長はなかなか大変だろうなと思いましたね。
個人的には、現状のPTAには反対で、もっと簡略化したオリジナルな組織でいいと思っています」

と康之さん。やってみた限りでは、仕事そのものにも無駄が多いと感じた。

「上部組織に会費を貢ぐ意味なんてないし、自分の子が行ってる学校のサポートのみ、みたいなシンプルな組織を作る方がいい。地域の年寄りにも手伝ってもらって、保護者負担も教員の負担ももっと減らすべきだと思います」

このような発想は、同期のPTA役員の皆さんとの会話の中から生まれた。仕事に介護にと、保護者はとにかくみんな忙しい。今や女性役員の中にも専業主婦はほとんどいないという。

それにしても、康之さんが会長として行った改革とはどのようなものだったのか。

「長年続いたバザーはコロナで休止状態でしたが、僕たちの代ではっきり廃止にしました。また、廃品回収も簡易的なものに変え、保護者負担を最小限に。地域行事に先生を招待してきた習慣もやめるなど、学校側の負担も見直しました」

また、自治体のPTA全体として設けていた「女性委員(仮名)」を毎年選出してきたが、それも廃止にしたそうだ。

「僕が役員をした時の委員の中に企業の労務で働いている方がいて『今どき性別を限定した役職ってナンセンスですよね』と意見を言ってくれたんです。というか、こんなものに縛られて疑問も持たずに選出するなんてダサいよね、と」

なるほど、と思った康之さんは会合で決を取り、女性委員は今後選出しないこととした。

「それから、PTA会長は別に男じゃなければいけないというわけじゃないのに、うちの小学校では女性が就任したことが全くなかったんです。記録の限りでは、長い歴史の中で一度もないとのことで……」

成り行きで会長に就任した康之さんだったが、これまで積み上げられていた課題を一つ一つ解消していった。しかし、次年度への引継ぎの際に、信じられないような実情を目の当たりにすることになり……。

 

取材/文 中小林亜紀

▶︎後編に続く


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