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【実録】フツーのサラリーマンが、いきなり沼落ち。グランドセイコーは、なぜ時計愛好家の「入り口」なのか検証してみた。

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グランド・セイコーが拘るザラツ研磨が彼を魅了?

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ザラツ研磨は下地を整える研磨法、エッジ(角)が丸くならない!

 

1990年代初頭の時計業界、特に日本国内では「機械式ムーブメント?」なんて雰囲気が未だにあったことも事実です。筆者も当時の記憶を辿ると周囲で機械式時計は皆無状態でした。事実、いつも電池交換のタイミングをいつも気にしていた記憶があります。

そんな時代、時計製造に着目すると、クォーツムーブメントを搭載したグランドセイコーが成功を収めている真っ只中でした。そんな中敢えて「機械式ムーブメント」を復活させてグランドセイコーとして発売する理由は無いという考えがあっても不思議ではありません。

おそらく様々な課題や困難をいくつも乗り越えたからこそ、構想から発売まで7年も掛かったと推測できます。

さてオーナーである会社の同僚Fさんが、僕と出会った時このSBGR001はタンスの中に眠っていました。2023年の秋頃、偶然筆者が時計好きと知り、「親父の遺品のセイコーの時計がある」と僕に告げます。

タンスから引っ張り出し付け始めて、当初は「重たい」と言っていたこのグランドセイコーだったのですが、この時計のストーリーを僕から聞き、今やFさんは毎日このSBGR001を付けています。

「毎日見ても飽きない」、「つけないと物足りない」、「重量感が良い」とまで言うようになり、すっかり時計沼に落ちています。毎日愛用するようになった理由は質の高い製品である事が大きな理由です。

36㎜というサイズは細身のFさんの腕にジャストなサイズ感、それでいてSBGR001が輝き放つ光と、盛りあがった筋肉のような仕上げが絶妙なバランスを保っています。時計本体に時計コーティング剤を塗った所、最上部(1枚目)の写真のように輝きが蘇りました。(他の写真は全てコーティング前)

輝きが蘇った理由は下地にグランドセイコーの伝統、ザラツ研磨を施したからです。数多い研磨方法がある中、グランドセイコーは今もこの手法に拘り続けます。下地がしっかりしているからこそ、四半世紀の空白期間があっても見事に輝きが蘇ると実感しました。
 

GS機械式ムーブメントのDNAを伝承するために

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SBGR001 1998年製造、現行モデルに劣らないスタイリッシュな外観!

 

セイコーは1970年代を最後に機械式時計の製造を中止します。しかし、ヨーロッパでは1980年代後半から90年代にかけて少しずつ機械式時計復活の兆候がでてきたのです。

当然セイコー社内でも、その情報を掴んでいた人たちは居ましたが、そう簡単に再開とはいきません。生産ラインを止めると、製造ノウハウが失われます。

前述したように実用的なクォーツ時計を世界に先駆けて開発した当時のセイコー社内の設計部門の人員配置の多くは、クォーツ関連だったのです。機械式時計に人員を割く余裕も無い、状態でした。

とは言え1991年にセイコーはUTD(Urtra Thinn Dress)という手巻き式ムーブメントを搭載した、限定ドレスウォッチを発売し好評を得た事は、復活推進派の大きな後押しとなりました。

このように機械式時計をこよなく愛する人たち、彼らの熱い魂が、機械式時計を復活させ、DNAを後世へ伝えたいと願っていたから、今日こうして機械式ムーブメントのグランドセイコーが隆盛を誇っているのです。
 

Fさんも父親から受け継いだ時計はタンスの中から陽の当たる場所へ移り、草葉の陰で喜んでいると思います。

 



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