芸人の頂点とされる松本人志に向けられた文春砲は、芸能界をざわつかせている。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「今の芸能界は間違いなく過渡期にある。これは現実社会も然りです。これまで許されてきたことも今は、気持ち悪いと一蹴されてしまう。女性の股間を触ったり、投げ飛ばしたり…現代では目を覆いたくなるような古い映像がSNSで拡散されています。当時も本当にこれが面白かったのか、我々自身も考えなくてはなりません」
今回は、自分1人が取り残されているとも知らず、会社での立ち位置を追われることになったある男性に話を聞くことができた。
…………………………………………………
玉山庄司さん(仮名・57歳)は、上場企業の関連会社で役員として働く身だ。子供も巣立ち目前。やっと肩の荷が降りたと思っていた矢先に事件は起こったという。
「僕は結婚するとき、8歳下の妻に仕事をやめてほしいと頼みました。僕はどうしても家庭を守る妻が欲しかった。2度目の結婚だったこともあり、そこだけは譲れなかったんです」。
すでにこの考え方が昭和だとお思いの人も多いだろう。しかし、当時はまだあるあるだったそう。
「1度目の結婚で共働きの末、結局すれ違いになり離婚をしました。今の妻と結婚したのは、25年前です。子どもを2人授かり、来年下の子も20歳を迎えます」。
こうして庄司さんは望む暮らしを手に入れたと話す。
「仕事は辛いこともたくさんありました。それでもやめなかったのは家族のため。なんとかここまでやってこれてホッとしていたんです」。
正直なところ、このまま定年まではいられる。そう確信していたと話す。
「リストラなどの嫌な仕事もしてきました。会社からは買われている自信もありました。ですから、まだ事態を飲み込めていない…そんな感じです」。
庄司さんにある通知がきたのは、昨年末のある日だった。
「常務から呼び出しが始まりでした。会社にはパワハラとかセクハラとか、なにかあったときのために相談窓口があるんですが、そこに私に対する相談が来ていると言われました。衝撃でしたね。晴天の霹靂とはこのことです」。
内容としては、数年前の飲み会で隣に座らされてお酌をさせられたこと、君ならできるはずだと肩を叩かれたことなど、庄司さんはまるで覚えていないないようだったと話す。