先週末、岸田総理が能登半島地震に関して「虚偽情報は許されない」と珍しく強めのコメントでSNSに投稿。実名は挙げませんでしたが、ラサール石井氏やその界隈が拡散させた。
「2次避難先の旅館やホテルの代金は自己負担」
というフェイクに対する注意喚起であり、インフラが死んで復旧メドも立たない地域から、なるべく早く、多くの人を移動させようという取り組みに、あれ横から冷水をかけるような行為でしたからね。ネットで派手にぶん殴られても仕方なかったのです。
本件、割と深刻な話で、フェイクの「訂正報」が元のフェイク以上に拡散するケースはほぼ無く、つまりネットをあまり使わない高齢者の中には「金が無いから2次避難は諦めよう」と誤解している人が未だいる可能性も最悪ゼロではないということ。人の生死に関わる話です。何てことしてくれたんだろう。
確かに岸田総理は説明ベタだし、今回の周知だってもっと強烈に「無償アピール」して良かったと思います。でもちょっと考えれば、このタイミングで避難民からカネ徴収する避難なんてありえないし、まともな大人なら普通はちゃんと調べるんですよ。
すぐわかる情報をロクに確認もせず、その拡散がどんなリスクを引き起こすかも考えず投稿する。いい歳した人がやっちゃダメです。
デマを拡散してしまったら……
とは言え、誰だって間違えることはあります。重要なのは、SNSで深刻なフェイクを拡散してしまった後にどう振る舞うか、です。
言うまでもなくベストな対処は、さっさと間違いを認め「どこが間違っていたか」明確にわかる形で訂正すること。その際に重要なのが「元の投稿」を消さない(!)ことです。まずは元の投稿にぶら下げる形で追記、訂正して下さい。ココ重要です。
元の投稿を消してしまうと、その投稿しか見ていない人に訂正報が届かない可能性があるんですね。だから先に「追記」するのです。その上で、
「私の○○の投稿は××が間違っていた」
と新たに投稿しトップにでも固定しておきましょう。間違っていた投稿をスクショし、間違い箇所に取り消し線を引いた画像を添えるのも効果的です。フェイク拡散の後始末には、そこまで手間をかける責任があるということですね。
間違いに気づき、何も言わずシレっと投稿を消す。これはかなりの悪手ですが……実は超大手メディアもよくやっています。ネット記事を消す、見出しをスッと差し替える。ダメですよ、ホント。
人間はピンチに陥ったり失敗した時にどう振る舞うかで、その人、その組織の本質が透けて見えるもの。つまりSNSでフェイク投稿をしてしまった時に、その後どんな振る舞いをするかで、人間性を見られているということです。
間違いの指摘を無視したり、意固地になって反論するなんてのはもう最悪。「知っていたけど注意喚起の意味で」みたいな謎の開き直りもダサいです(←でも実際、今回の騒動でかなり見られました)。
右左問わず、党派性が絡むと人は冷静さを失いがちです。実際、党派性が絡んだフェイクニュースって物凄く多いですから。何か腹が立つようなニュース、意に沿わない情報に接した時は、いったん落ち着いて調べましょう。
当のラサール石井氏、誤りを指摘されて暫くはダンマリでしたが、投稿から2日後に自分が間違っていたと認める投稿をしました(元の投稿は消しちゃったようです)。
ただ残念なことに、誤りの原因は「政府の地震災害への対応に怒りを感じる連続だった」からだそうで、フェイクを訂正する前に、先にそっちを書いてましたからね。情報は緊急度の高い項目から伝えるべし、災害時には特に重要なセオリーです。
人間はピンチに陥ったり失敗した時にどう振る舞うかで、その人の本質が透けて見えるものです。
Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)
※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。