「窓は新聞紙で磨けと命じてきました。僕は濡らした布巾で窓拭きしたあと乾いた布巾で仕上げ磨きをしていたのですが、『それやっちゃうから布巾の繊維が残って汚くなるのよ』と汚いものでも見るような顔で言われて」
窓拭きに新聞紙を活用する方法は有名で優吾さんも知っていたが、手が黒くなるから嫌だった。
「すでにそこでイラついていたんですが、言い争うのもイヤだったので渋々従いました。で、御意のままに新聞紙で窓拭きをしていたんですが......」
不本意ながら指先を黒く汚しつつ頑張って「妻流」窓拭きに励んだ優吾さんだったが、またここで妻からのダメ出しが入ることとなる。
「無心で窓を拭いていると『ねえ!下から上に拭いてたらいつまでたってもキレイになんないじゃん。大学院出てても掃除の仕方は知らないんだね』と意味不明なディスられ方をしました。どうやら上から下に拭かないと、汚れた汁が跡のようになって残るらしいんですよ。でも見たところキレイに拭けていたのでカチンときて、『そんな風に言うなら自分でやればいいだろ』とキレちゃいまして」
優吾さんの反応を受けた妻は「自分のやり方が認められないとすぐに怒るのは一人っ子ならではね。もうちょっと柔軟性持たないと出世できないわよ」と嫌味で応戦してきたのだそう。
「いやいや、一人っ子関係ないし。ていうか柔軟性なくて自分のやり方ゴリ押ししてんのそっちじゃね?って思いっきり喧嘩腰になってしまいました」
窓拭きひとつでかなり険悪になった優吾さん夫婦。しかし、大掃除をめぐる2人のバトルは、まだほんの序章に過ぎなかったのである。
「僕が休みに入った翌々日が、その年の最終ゴミ収集日だったんです。妻がたっぷりと断捨離したとかで部屋の中のいろんな場所が随分スッキリしたように見えました。玄関なんかも整然として確かにきれいになりはしたのですが......」
不自然なほどすっきりと片付いた玄関周りに違和感を覚えた優吾さん。その場をじっくりと見回してみると、いつもあったいくつかの物がないことに気が付いた。
☆年末の大掃除でオレサマ妻に何かとイチャモンをつけられる優吾さん。しかし、優吾さんをさらなる悲劇が襲う……。次回、詳細にレポートする☆
取材・文/中小林亜紀