■パイクカーのようなデザインでありながら、中身は本格的なオフローダー
FJクルーザーに搭載されるエンジンは4.0L V6ガソリンNAで、最高出力は203kW(276ps)、最大トルクは380Nm(38.8kgm)。前述したように、150系プラドと共通のパートタイム4WDシステムやリアデフロック、アクティブトラクションコントロールといった本格的なオフロード走行を可能にするデバイスが用意されています。
ボディサイズは全長4635mm×全幅1905mm×全高1840mm、ホイールベースは2690mm、最低地上高は230mm。これによりアプローチアングル34度、デパーチャーアングル27度、ランプブレークオーバーアングルは28.5度というスペックを実現していますが、実はこの数字は新型のランクル300や250よりも大きく、FJクルーザーがいかに優れたオフロード性能を有しているかを示しています。近年の迫力あるエアロパーツもカッコイイですが、往年の名車のデザインを取り入れながら、機能性もしっかり確保されていることは、個人的にかなりグッときます。
大型アウトサイドドアハンドルや横開き式バックドア、バックドアガラスハッチ、アンダープロテクション、撥水・防水ファブリックシート、大型ダイヤル式ヒーターコントロールパネル、大型シフトノブ&トランスファーノブといった装備も、遊び心とデザイン性を取り入れつつタフな環境での使いやすさに配慮されているところもポイントです。
■数年前からほとんど値下がりしていない
2023年11月現在のFJクルーザーの平均中古車価格は約265万円。この価格は数年前からほとんど変わっていません。2017年に特別仕様車「Final Edition」(新車販売価格:349万2720円)がリリースされましたが、こちらの中古車価格は安くても300万円程度から。程度がよく走行距離が少ない個体では、400〜450万円からというプレミアム価格が付けられています。
カスタムされた車両が多いのは気を付けたいポイントですが、もともと頑丈な造りであることや経過年数を考慮しても、走行距離はそれほどシビアに考慮しなくてもよさそう。
観音開きのドアや4.0Lガソリンエンジンの燃費、1900mmを超える車幅など、いまの日本で乗るにはやや贅沢に思えるクルマではありますが、流行に左右されない個性的なデザインと本格的なオフロード性能を考えると、価値のある一台だといえるでしょう。
アメリカンな雰囲気のある本格オフローダーに乗ってみたいという方にはぜひオススメしたい、FJクルーザー。中古車相場は高めですが、リセールバリューも高いので程度のよいモデルに出会えれば、その価値はあるはず。車両電動化が進むこの時代、「いましか乗れない」一台であるのは間違いありません。
Text:Tachibana Kazunori,MMM-Production
Photo: TOYOTA
Edit:Takashi Ogiyama