多額の献金や霊的商法の問題を受け、文部科学省は10月13日、旧統一教会に対する解散命令を東京地方裁判所に請求した。それを受けて7日に同教団が行った会見が物議を醸している。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「あくまでも謝罪はせず、お詫びというスタンスであると強調していましたね。さらに被害金額が明らかにならない以上、安易に被害者という言葉は使わないようにしていると述べていたことも印象に残りました」。
さらに総資産を公開しないと述べたことにも注目が集まっている。
「100億円の特別供託金を準備すると用意があるとのことでしたが、そもそも現行法では供託金の制度がありません。さらに被害額がわからないと言っている以上、100億で足りる根拠もない。解散請求そして、財産保全逃れを指摘する声も上がっています。被害者はもちろん、これでは国民も納得をしないでしょうね」。
今回の一連の事件で、大きく注目をされることになったのが宗教2世の問題だ。旧統一教会に限らず、多くの新興宗教で問題になっている2世の存在。そのリアルを語ってくれるある女性に話を聞くことができた。
細越亜美さん(仮名・42歳)は、関東近郊に子供と夫、そして犬と暮らしている専業主婦だ。
「宗教2世という言葉は、最近になってよく使われるようになった言葉ですよね。だから、初めはピンときていなかったんです。今、話題に上がっている教団とは異なる宗教団体でしたし、脱退してもう20年くらい経ちますから」。
亜美さんの実家はそもそも特定の宗教を信仰していたわけではなかったそうだ。
「父は教師、母は専業主婦。姉がいて家族仲良く暮らしていました。絵に描いたようなというのは大袈裟ですが、すごく幸せな家庭だったんだと思います。幼い頃のアルバムにはいつも楽しそうな家族の姿が納められています。旅行に行ったり、山登りをしたり、遊園地に行ったり、おじいちゃんおばあちゃんに逢いに行ったり…私自身、いい思い出ばかり」。
歯車が狂いだしたのは、亜美さんが小学生3年生になった頃だったという。
「父が癌になったんです。あっという間に進行して、入院生活を余儀なくされました。私は日々、衰退していく父を受け入れることがなかなかできずにいました。あんなに元気な父だったのに…と。でもそれは母も同じだったようです。いつもどこか、ぼんやりしていて、心ここにあらず…そんな状況だったと記憶しています」。
そんな母に転機が訪れる。それが新興宗教への入信だ。
「その頃の私には、それが宗教だという認識はありませんでした。訪ねてきてくれる人たちのことを相談に乗ってくれる母の友達くらいに思っていました。詳しい話を母に聞いたことはないのでわかりませんが、きっと宗教団体の人だったんだと今は思います」。
亜美さんは母に連れられて、毎週集会に通うようになったそうだ。
「お父さんの病気が治るように祈ろうと母からも周りの人からも言われました。父の病気が治って欲しい、その一心で教会に通いました。兄も同じだったと思います」。
しかし、その願いは無残にも崩れ去る。