【後編】移住５年40歳で自治会長？ 人手不足、空家に野生動物、回覧板は訃報ばかり…地方崩壊までの足音。

「うちの夫は40歳なんですが、実は先日、来年度の自治会長をやらないかというお誘いがあったんです。どういう人が適任なのかは知りませんが、40歳で自治会長なんて早くないですか？

しかも、うちは移住してきてまだ５年そこそこです。夫はこの市の出身者ではありますが、今住んでいる地域のことはまったく知りませんし」

自治会長といえば、地域のことを知り尽くした長老のようなイメージを持っていたかのんさん。実際、引っ越してきた当時の自治会長は70歳くらいの人だったという。

「ここ４～５年で一気に高齢化が進んだということなんでしょう。私たちが越してきたときに自治会長さんだった方も去年亡くなりました。今の自治会長さんは50代の会社員で、15年ほど前からここに住んでいる人です。その人もなかば強引に自治会長を任されたと言っていましたね」

かのんさん一家が移住してきた頃、すでに若年層・子どもの人数は少なかったが、高齢者層は厚く、自治会役員のなり手が豊富にいるように見えていたのだそうだ。