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「公務員辞めるなら、教育費全部返せ!」心療内科に通う子供より世間体を重視。毒親に待っていた「悲劇の結末」

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担当医からは最低1ヵ月の休職を指示された。

裕哉さんは、ああやっぱり、これは病気なんだ、仕事休んでいいんだ、という安堵の気持ちとともに、職場の人へ迷惑がかかって申し訳ないという罪悪感に襲われたそうだ。

当時、実家で暮らしていたのは父、母、裕哉さんの3人。両親は50代で、父は管理職という立場だった。

体調を崩して仕事を休むことになった経緯を父に話すと、こんな言葉が返ってきた。

「一度心を病んで休んだら出世コースから外されてしまう。とにかく治して復帰しなさい。父さんたちの時代はもっと大変だった。男が病んで休むなんて許されなかった。公務員が病んでどうするんだ」

心配してくれると思いきや、出世がどうの、今の子たちは根性がない、甘えているなど説教じみた話を淡々とされ、ひりつくような思いになったという。

総務省が都道府県・指定都市及び市町村1,788団体を調査した「地方公務員のメンタルヘルス不調による休務者の状況」によると、休務者全体は21,000人にのぼり、10~20代が21.7%、30代が24.5%、40代が27.4%という結果になっている。

休務者の所属部署は、「保健福祉」が最多の23.7%を占めた。裕哉さんも福祉系の部署だった。

休務に至った理由として多いのは、職場の対人関係や業務内容(困難事案)。

社会全体で心のケアや、ライフワークバランスの重要性が叫ばれているが、それは私たちの生活を支えてくれる公務員も同様である。

特にコロナのような特殊な経済状況の中では、公務員は業務過多になって負荷がかかり、休務者が増える懸念があるだろう。

「2ヵ月経つと症状がよくなり、復職しました。元の部署に戻ったんですけど『本当にこのままでいいのか』と考える回数が多くなったんです。自分はこの仕事をずっとしていくのか、本当にやりたいことは違うのでは......と疑問を感じるようになった。その結果、退職を考えるようになったんです」

理想と現実のギャップに悩み、公務員退職を考えるようになった裕哉さん。しかし、「公務員を勤め上げるのが当たり前」「公務員辞めるなら、教育費没収」という両親から投げかけられたの、厳しい声だった。

次回、裕哉さんの決断について詳報する。

取材/文 錦城 和佳

▶︎後編に続く


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