■高級GTカーを目指し、Z31では大きく路線変更
3代目となる「Z31」は、1983年にデビュー。Z伝統のロングノーズ・ショートデッキのプロポーションを継承しつつ、直線的で先進性の高いデザインとなり、空気抵抗係数は0.31と本格的な性能に。インテリアもモダンで高級感があり、GTカーとしてオーナーの所有欲をしっかり満たしてくれるほど進化していました。
エンジンもV6エンジンへと生まれ変わり、2.0L V6ターボ(170ps)の「VG20ET」と3.0L V6ターボ(230ps)の「VG30ET」の2種類。シリンダーブロックはアルミ製、タイミングチェーンからタイミングベルト式にすることで軽量化も図られました。インタークーラーレスながらパンチの効いた加速が楽しめる痛快なパワートレインで、Zの魅力が高められていました。
こうして、もともと「安くて扱いやすい高性能車」というイメージだったZシリーズは、このZ31の登場によって「高級GTカー」としてのステータスを持つモデルへと生まれ変わることに成功。ただ、Z31はこれだけでは満足していませんでした。
■「走り屋に愛されるエンジン」も追加し、新たな魅力を付加
全車V6エンジンで出発したZ31ですが、1985年に直6モデルを追加。搭載されたのは、2.0L 直6DOHCターボの「RB20DET」でした。世界初のセラミックターボを採用し、最高出力は180ps、最大トルクは23.0kgmで、低回転から力強いトルクを発生させる扱いやすいエンジンであり、R31型スカイラインやC32ローレル、A31セフィーロにも搭載され、いわゆる「羊の皮を被った狼」的なモデルに乗りたい走り屋に愛されたエンジンでした。
直接のライバルである「トヨタ セリカXX(スープラの前身)」に2.0L 直6NAエンジンが搭載されたことに対抗するマーケティング上の戦略でしたが、この直6エンジンの追加は、GTカーの要素が強くなったZ31に、また違う魅力をもたらしていました。
その後Z31は、1986年にビッグマイナーチェンジを受け、丸みを帯びたデザインに大胆変更されたほか、新開発の3.0L V6DOHC NAエンジン搭載の「300ZR」も新たに設定されました。リアルスポーツを追求した本格GTカーとしてまたさらにステップアップし、1989年に4代目となるZ32へバトンタッチをします。