育児休業中の美咲さんの生活範囲は自宅とスーパー、子どもの予防接種や病院など、決まった予定がある出かけ先のみ。それ以外の外出といえば、もっぱら由美子と会うときだった。由美子とは、月に2、3回は顔を合わせていた。
「由美子への疑いが確信に変わったのは、彼女が私の自宅へ遊びに来たときでした。その日は財布に千円札が8枚入っていて、そのうち4枚はあらかじめ三つ折りにして折り目をつけていたんです。疑って申し訳ない、きっとY子のはずがない、と思いながら仕込みました」
由美子の帰宅後、財布に残っていたのは千円札5枚。折り目をつけたお札が3枚消えていたという。
「息子がミルクを吐き戻してしまったので、シャワーをするため10分くらいお風呂場にいたんです。おそらくそのときだろうと思いました。怒りよりも、悲しい気持ちのほうが大きかったですね」
今までになくなった現金の総額は約5万円。少ない金額ではない。
由美子が盗んだことはほぼ明白だったが、決定的な証拠がなく、問い詰めたとしてもシラを切られたら打つ手はない。美咲さんは、悔しさと悲しさを飲み込み、由美子とは一切関わらないと心に誓ったという。
彼女との関わりを断ちストレスから解放された美咲さんだったが、由美子を最後に自宅に招いてから1ヵ月が過ぎたころ、その裏で別の事件が起こっていたことに気づいた。
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