2人が急接近したのは、2軒目のバーを出た時だ。
「ほろ酔いのせいか、ハイヒールを履いた私がよろけた拍子に『危ない!』と彼が抱きとめてくれて……そのまま抱擁し、気づけばキスをしていました。
久しぶりに味わう唇の温かさ、チクチクとしたヒゲの感触が懐かしかった……こんな甘やかなキスは何年ぶりだろうと思いながら、私も思いきり唇を押し当ててしまいました」
2人は手に手を取って、タクシーに乗った。
「彼はタクシーの運転手に、六本木にある外資系ホテルの名を告げたんです。2人とも無言でしたが、手は握ったまま。汗ばむ手が、これから起こるであろうスリリングなひと時の序章のように感じました」
ホテルの高層階にある一室に入ると、2人はシャワーを浴びることなく、ベッドに倒れ込んだという。
「まるで求めあう獣のようでした。夫と違う匂い、違う肌ざわり、そして超えてはいけない一線を越えようとする背徳感が、私の『女』を猛烈に刺激してくるんです。
ワインカラーのランジェリーを脱がしながら、彼は何度も『キレイだ』と褒めてくれました。
その瞬間、思ったんです。下着は身につけるものじゃなくて、好きな男に脱がされるものだって」
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