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LIFESTYLE 女たちの事件簿

「つわりって便利だよな〜」「もう、アレできるんだろ?」優しかった夫は、なぜクズ化した? 33歳、初産妻の「屈辱すぎる妊娠生活」

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不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。

ある大手育児用粉乳メーカーが2018年に実施した「妊娠中に働いていた女性の実態調査」によれば、子供2人以上の出産経験があり、なおかつ妊娠期間中に働いていた女性250人のうち、妊娠中につわりを経験した人は1人目2人目いずれも約8割に上ったという。その中で、つわりが「とても重かった」「やや重かった」と答えた人は全体の6割を超えたそうだ。なお、つわり中につらかった場面として問われた回答中で最多1位は「料理」の67.8%、2位は「仕事」の55.6%だったとされる。

つわりは経験した人にしかわからない。また、症状や程度が千差万別であるため、十把一絡げにして語ることもできない。次元の違う少子化対策とやらにささやかな期待を寄せつつ、とりあえず、「妊娠した女性の不調=やっかい」と認識してしまう人が厳にいる実情を知ってほしい。

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上林沙也子(仮名・33歳)は夫と2人暮らしの会社員。臨月を迎え、すでに育休に入っている。沙也子は子どもとの対面が楽しみになってきたと言って微笑んだ。しかし、出産後に待つ離婚の話し合いや段取りを思うと、憂鬱な気分になるという。

ゆったりとしたニットワンピースに包まれた彼女の腹部は、大きく突き出ている。お腹の子がいかにも窮屈そうに、自分自身の誕生を今や遅しと待っているかのようだ。

「少し緊張するけど、子どもの誕生はもちろん待ち遠しいです。でも、妊娠して体調を崩してから、ダンナに対する思いもイメージも180度変わってしまって、もはや離婚濃厚な状態。なんであんな人と結婚したのか、自分の選択眼を疑いますね」

沙也子は色白の顔に手をあて、困ったようにまた微笑んだ。ここまで来たら、もうジタバタしても仕方がないという落ち着きが窺える。

「夫は大学生の時から1人暮らしをしていたので家事が上手で、もともといろんなことに協力的でした。いろんな意味で自立している人だと判断して結婚しましたし、育休前も育休明けも、この人なら安心だなと思っていたんです。でも、私の見立ては間違っていました」

夫は、妊娠初期からひどかった沙也子のつわりに対し、ほぼ一貫して無理解だったという。

「最初の方だけは心配してくれました。本当に最初だけですよ。大丈夫?なんて聞いてくれたのは、たった数日間でした。あとは冷ややかでしたね。はあ?それいつまで続くの?とか、それ本当なの?みたいな反応をすぐにし始めました」

ひと口につわりと言っても、沙也子はさまざまな症状に襲われたが、最もひどかったのが吐き気と嘔吐だった。つわりの中でも代表的な症状だ。

©︎Getty Images

「ある日気持ち悪がっていると、ダンナがこう言いました。『つわりって便利だよな、つわりって言えばゴロゴロしていられて。そもそもそれってドラマとかの刷り込みじゃねえの?』と。それが最初にショックを受けた言葉ですね。要するに、つわりって嘘か思い込みの産物なんじゃないかと疑ってきたんです」

沙也子が最初につわりの到来を知ったのは、猛烈にロイヤルミルクティーを飲みたくなった時だという。人生で一度くらいしか飲んだことのないものだった。好きだと思ったこともない。にも拘わらず突然飲みたくなり、我慢ができなくなった。

「検査薬で陽性反応が出てすぐくらいですから、妊娠2か月頃ですよ。とにかくロイヤルミルクティーを猛烈に飲みたいんです。他のはイヤ。それで、コンビニでロイヤルミルクティーを買って一気飲みしたんですよ。そうしたら、今度は激しい吐き気。そこから長いこと続きましたね。吐き気との戦いでした」

夫は、食べたい物が限定的になるわりに、その食べ物を口にしても気持ち悪いという沙也子が信じられない様子だった。

「フライドポテトと昆布おにぎり以外は食べたくない時期が少し続きました。そればかり食べていたのですが、それでも気持ち悪いんです。食べたいという思いと、気持ち悪くなるのは別々なんです。しかも、空腹でも満腹でも吐いてしまう。するとダンナは、食べたいんじゃねえのかよ!とツッコんできました。最初は笑ってて、でもだんだん呆れたような口調になっていって、そのうち疑って怒るようになりましたね」

沙也子は、空腹になっては口に手をあて、食べてはトイレに駆け込むことをくり返した。止むことのない吐き気はあまりにつらく、彼女はしばしば便座を抱いて涙を流した。

「トイレでもどしている時、ダンナがメシ中にやめてくれよマジで~、妊婦だからってデリカシーなくしていいのかよと、大声で言うんですよ。おまえが言うなと内心ツッコミましたね」

結婚後、ずっと2人で協力してきていた家事については、妊娠後も夫は嫌がることなくある程度は担ってくれたのだという。しかし、ふと気づくと、その「ある程度」というのは「夫自身のための家事の部分」に範囲が狭まっていたそうだ。

「使ってる回数が全然違うから、トイレ掃除はオレ免除なとか。どうせ食えないだろって、自分の分だけ食事を作ったり買ってきたりとか、平気でしてました。当番制にしていたゴミ捨ては、何があろうと自分の曜日にしか行きません。結婚後、掃除機をかけるのは私担当だったんですが、交代してくれることはなく、掃除機は全くかけない感じです。なるほど、こういう男だったのかと初めて知った思いでした」

私の分の食事も買ってきてくれない?と頼むと、昆布おにぎりとフライドポテトを毎日買ってきたという。ふと栄養状態が不安になり、野菜やたんぱく質を摂りたいと言うと、「は?それしか食えないって言ったじゃん」と怒りを買ったのだそう。

「確かにわがまま言ったかもしれません。でも、逆の立場だったら、赤ちゃんのためにちょっとは栄養のことも考えないとダメかなと思って、何か作ってあげると思います。ダンナは結局、私がもうやめてというまで昆布おにぎりとポテトだけを毎日買ってきました」

☆沙也子の心と身体はとうに限界。そんな沙也子に夫がさらなる「マタハラ」。そればかりか、不調に悩む妻に夜の営みを強要する。次回では、夫と義母に心身を蝕まれていく沙也子の悲痛な叫びをレポートする。反面教師として、ぜひ読み進めてほしい☆

ライター:中小林亜紀

▶︎後編に続く


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