続けて、重苦しい表情でこう話す。
「あとから共通の知り合いから聞いた話ですが、この女が彼をとても気に入っててゴリゴリにアピールしていたようです。彼は仕事はテキパキしているし、島に来ているってことは出世コースかもしれない。彼女はいるけど独身だし、狙っちゃえみたいな感じだったらしいよと聞きました。子どもを授かって結婚したら島から出て暮らせるし、ラッキーと思ってたようです」
彼と結婚して子どもを授かり、幸せな家庭を築くのは私だったはずなのに――
その夢は叶わず、浮気相手の女性のお腹には彼との子どもがいる事実を受け入れられないまま、別れることになった。
借りているアパートはそのまま住み続けていい、家具家電はすべて由美さんへ譲る、という条件で10年の交際に終止符を打ったようだ。
そして大型連休が終わる日、彼はまた島へ戻っていった。
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