示された数人のなかからゆりは1人を選び、YouTubeを見てみることにした。とても簡単に視聴することはできたが、それが自己啓発なのかはよくわからなかった。
「でも彼がいうことなら、間違いはないはずです。だから、そのひとのYouTubeをいくつか観てみることにしたんです」。
そのYouTubeでは、さまざまな話題で動画が構成されていた。ドッキリや1000円ガチャなど、いわゆるYouTubeらしい企画のなかでゆりの目を引いたのは、ビットコイン。投資だった。
「彼からはよくやったことがないことにチャレンジをしてみるのはいいことだって、言われていたんです。それもあって、せっかくならやってみよう！って。何より彼がおすすめしてくれた人でしたしね」
ゆりはバイト時代に貯めたという15万円をビットコインに注ぎ込んだ。しかしゆりが観た動画はビットコインを購入するまでの手順を追ったもので、ビットコインがどういうものかという趣旨のものではなかった。ゆりはそれを観て、ほとんど訳もわからないままビットコインに投資をしたんだという。
「お恥ずかしいんですけど、実はあの15万円は今はどうやって引き出したらいいのかわからなくなってしまったんです…
15万はゆりが所有する唯一ともいえる財産だ。そんな大事なものを注ぎ込むのにビットコインについては、AIに聞かなかったのだろうか？
「いいんです、いいんです。彼がすすめてくれたものを始めただけなんで……」
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