「そりゃあ。ブラジャーなんかより中身が見たいよ…って」
そこまで聞き出して具合が悪くなった琴子は、「吐きそうなので戻ります」と告げ、証拠を収めたポケットの中のボイスレコーダーを握りしめ、自分の実家へ戻ったのだという。
翌日、琴子は勇気を振り絞って姑にことの次第を話した。姑の絶望を想像すると告白することが躊躇われたが、自分が同じ立場なら、傷ついても事実が知りたいはずだと思った。
少しでも姑のショックを和らげるためにと、証拠の録音データを聞かせる前に、琴子は自分の言葉でトラブルの経緯を説明することにした。しかし、証拠を聞かせるまでもなく、姑は大きく頷いて「あの人がやりそうなことだわ」と呟いたのだという。琴子は肩すかしを食らったが、その後の姑の告白を聞いて、すべて合点がいったのだった。
「ごめんなさいね、琴子さん。主人がそんな恥ずかしい真似をして、あなたにつらい思いをさせて。もう二度とさせないから、私に免じて許してちょうだい」
お義母さんが謝る必要はない、と琴子が慰めると、姑は「いえ、責任の一端はあるかもしれない」と言って、覚悟を決めたようにある話を始めた。
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