芽衣子さんの耳に入ってくるのはそんな辛い状況にある子どもたちの話ばかり。
もちろんかつての芽衣子さんのように、踊ることが楽しくて幸せで、だからこそ辛い時期や苦しい時期を乗り越えられるというような子どもたちもいる。
「結局コンクールに入賞するのは、そんな子たちです。お母さまの期待が過剰で、その期待に応えなければいけない子どもたちは、緊張の度合いがひどくて、練習中の5割程度しか実力を発揮できないんです。舞台の袖で過呼吸になってしまう子もいるくらいです。時折お休みの提案もしていますが、そんなのがお母さま方に受け入れられることはありません。」
芽衣子さんは、バレエという芸術を心から楽しんで踊ってほしいと願っている。でも、母親の存在がそれを阻んでしまうがゆえに、どうすることもできないのが実情だ。
Text:女たちの事件簿チーム
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