梅雨から夏の時期に重宝するのが「シアサッカー」です。シアサッカーとは、日本語では「しじら織り」といいます。しじら織りの着物もあり、これは5月から9月の、暑い時期に愛用されるもの。
この織りは、縦横どちらかの糸を縮ませて、織物の表面に凹凸を生み出すことが特徴。この凹凸があることで生地が肌にペターとくっつかず、つねにさらっとした肌触りをもたらすので、暑い時期にぴったりというわけです。
シアサッカーは、18世紀にはすでにインドで織られていたといいます。語源はペルシャ語の「ミルクと砂糖」を意味する「シーロシャカー」。その言葉が転じて「しぼ」「縮れ」という意味に変化し、英語圏に入って「シアサッカー」と呼ばれるようになったそうです。
さらっとした、快適な着心地ながら、きちんとして見えるのもシアサッカーの利点。それは同じく夏生地の定番、リネンに比べてハリがあるので、シワになりにくいからだといえます。また、キャンバスやオックスフォードよりも涼しいので、夏に最適な生地なのです。
ちなみにシアサッカーを世に広めたのはアメリカ、とりわけ1935年にブルックス ブラザーズが登場させたスーツからだといわれています。現代でも、ナショナルシアサッカーデーという記念日があるほど、アメリカでは愛されている生地なのです。
シアサッカーのセットアップスーツがあると、さまざまなシーンで大活躍します。シアサッカーというと白×水色のものが主流ですが、紺単色ならビジネスでも使えます。もちろん、定番の白×水色は見る人にも涼感を与えるので好感度も高まることでしょう。
着こなしは簡単です。Tシャツとスニーカーでカジュアルに着こなしてもOKですし、オックスフォードのボタンダウンシャツにローファーを加え、適度にドレスアップをはかってもいいでしょう。タイをするならシルク糸をあまく編んだニットものがおすすめです。
難しいのは色合わせです。定番の白×水色のシアサッカーに、白を合わせるのが定番で、さわやかさを倍増させるのですが、白のインナーに、白の靴では全体がぼやけてしまい、また白とはご存知の通り、膨張色の極み。体躯をふくらませたように思わせてしまいます。もちろん、引き締まった体躯ならば問題ないのですが、私のような中年体型で着こなす自信がありません。
インナーはセットアップスーツと同調する水色のポロシャツまたはボタンダウンシャツを、足元は膨張色の反対=収縮色である寒色系の青(または紺)のローファー、スニーカー、デッキシューズで締める、というバランスがいいかと思います。
ビジネスで着用する濃紺のもの=収縮色には、膨張色であり暖色系の白インナー(ポロシャツがベター)でさわやかさをプラスしたいところ。足元は茶、紺、黒などの寒色のローファーで締めることをお忘れなく。
またパンツはベルトレス仕様で、ドローコードで絞めるタイプのものは、さらに快適な着心地。ジャケットとパンツをそれぞれ単品で着まわすことも容易なので、この夏、ぜひシアサッカーのセットアップスーツを試してみてください。
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Photo:Ryouichi Onda
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Text:Takashi Ogiyama