憧れはグレー・ジェントルマン。無彩色の料理法とは
日本の服飾業界の重鎮として活躍している、ファッションアドバイザー・赤峰幸生氏。御年79歳でInstagramのフォロワーは5万5000人超、服飾のみならず、アートや歴史の分野にまで及ぶ博覧強記で、老若男女を問わずたくさんの方々に支持されています。
そんな赤峰氏が語る、誰も教えてくれなかった「紳士服の教科書」。今回取り上げる色は、“さば色”に例えたグレーで、白やベージュなどの無彩色とグレーの組み合わせを会得すれば、普段着にも超便利!
あの名優たちも、グレーを極めているから美しい
伝説の映画スターであるフレッド・アステアもケーリー・グラントも、グレーの着こなしを極めたジェントルマンです。グレーは服の素材によって色合いが全く異なってきますから、素材を知ることも大事。素材感もポイントにしてレクチャーしましょう。
私が考えるグレーは、魚に例えれば「さば」です。グレーの着こなしを考えるというのは、さばの料理法をマスターするのと同じ。グレーを上手に使いこなしてみましょう。
スタイル1:トラウザーズもニットもグレーの「グレー尽くし」
グレーといえば素材はフランネルです。コーディネートでまず選んだのはグレーフランネルのトラウザーズで、フランネルの中でもミディアムグレーよりちょっと濃いめをチョイスしましたが、明るいグレーでも大丈夫。
グレーフランネルのトラウザーズに、グレーのニットを合わせて、茶系のシャツをニットの襟元からちょろっと覗かせます。足元のホーズはベージュにして、靴は白のスニーカーを。
上に羽織るのは、無彩色のミディアムグレーのホッファ(HOFFR)圧縮ニットジャケットで、ボタンもさば色のものを選びます。そしてフィニッシュには、グレーとベージュが入ったスカーフを首に巻いて出来上がり!
スタイル2:グレーのワントーンは、とことんグレーにこだわる
次のグレー=さば色のスタイルは、サキソニーのトラウザーズを軸にします。ミディアムグレーは万能選手で、ジェントルマンが着る基本のグレーだと覚えてください。
トップスは、ハイネックの白のカットソーに、無彩色の深めのVネックニットを合わせます。日本ではボーダー、ヨーロッパではホリゾンタルストライプと呼びますが、これもワントーンです。
その上に羽織るのは、自分が35年ほど前にスコットランドの北にある島に行ってオリジナルで作ったインバーアラン社のハンドニットのパーカーです。これは手仕事が国宝級で、手放せない一着。さらに足元はグレーのホーズとグレーのスニーカーでまとめます。
グレーのワントーンにさらに追い打ちをかけるようにストールもグレーを。コートを着ないで寒かったら、グレーのひざかけを肩に巻いたりします。
スタイル3:グレー×グリーン×ホワイトの無彩色コーデ術
グレーの3コーディネート目は、ミディアムグレーのVネックニットが主役。ニットの中にはグリーンのシャツを合わせます。
トラウザーズは、冬に限らず一年中よく穿いている白のコーデュロイの5ポケットをチョイスして、アウターには、グリーン系のバーバリーのヴィンテージのハンティングジャケットを。ハンティングジャケットは、アコーディオンプリーツのベローズポケットが特徴的ですね。
足元のホーズはニットのグレーと色合わせして、グレーのスニーカーとコーディネート。最後の仕上げはグリーンのヴィンテージのスカーフを巻きます。グレー×グリーン×白はとてもベーシックで、普段着るときに便利ですよ。
スタイル4:4つめのスタイルは、さばではなく、さんまの味
4つめのコーディネートは、さばではなく、さんまのグレーに見立てたフランネルのトラウザーズが主役。トップスのインナーは、白のハイネックにして、グレー×白の無彩色の色合わせにします。
そこに被せるのは、シェットランドのニットメーカー「ジャミーソンズ(Jamieson’s)」のグレーと赤の小さなアクセントがあるニットパーカーで、赤とグレーと白は、料理でも大好きな合わせ方です。
足元のホーズはグレー、スニーカーもグレーをチョイス。仕上げに赤のマフラーと、グレーの手袋を。コーディネートすると、さんまの味がしてきます。
スタイル5:最後のお品書きは、なんとジージャンを着ます!
グレーコーデの最後のお品書きは、グレーフランネルのトラウザーズに、フルタートルネックを合わせます。フルタートルネックは普通、折り込んで着ますが、折らずに着ると、タートルの持ち味が出ますのでお試しを。
そのタートルネックの上に着るのはガンジーセーターです。後ろ前がなく着られるのが特徴のセーターで、編み目なども独特です。そして、少しフェイントをかけて着るのが、ジージャンです。
ジージャンに合わせるように、足元はグレーのホーズとコンバースにスニーカーを。寒いようだったら、グレーのマフラーを合わせてみましょう。
ぜひみなさんも参考にして、カラーコーデを自分のモノにしてみてくださいね。
Text:Makoto Kajii.