自分のライフスタイルに合うエプロン作りました
ヤヌークとのコラボレーションで、“自分が穿きたい究極の黒”をテーマにしたブラックデニムをつくったのですが、制作中、突如として新型コロナウイルス騒動が勃発……。非常事態宣言下での外出自粛要請もあり、自炊の機会が激増しました。
そんなとき、はたと気づいたんです、エプロンがないことに。とはいえ、自分のライフスタイルに合わないものは家の中に置かない主義。エプロンといえども、手を抜きたくはありません。
そこで、ヤヌークの担当者とのリモート打ち合わせの際に、世間話のつもりで そのことを打ち明けてみたんですよ。そしたら、「干場さん、自分で作っちゃったらどうですか?」との回答。瞬く間に、商品化が決まりました(笑)。
確かに、デニムだったら長く使い続けられるし、使っているうちに味わいも増していきそうですよね。「多くの粗悪なものより少しの良いものを」「移り変わる流行よりも普遍的で美しいものを」というエコラグのコンセプトにもハマります。
色は、近ごろ、自分がモノトーンのワードローブに凝っていることもあり、ブラックに決定。最初はブルーもいいと思いましたが、家のインテリアとの相性からいっても 色を主張しないほうがいいかなと。
ドーナツボタンやリベットなど、ジーンズのディテールをデザインに取り入れているのも特徴です。特にこだわったのが、合計3つの大型ポケットと、正面に付けたループ。ここにはタオルをかけることを想定しました。だって、料理中って何度も手洗いをするでしょ。
僕が料理で目指すのは「究極のシンプルな男メシ」。例えば、土鍋でごはんを上手に炊くとか、味噌汁にこだわるとか、主となるものに重きを置いています。その点は、僕の服選びにも通じる考え方かもしれませんね。魚沼産コシヒカリ「ひばり」に、新鮮な卵と出汁醤油があれば十分。
あとは「小松こんぶ」って知っていますか? 京都にある名料亭・雲月の看板商品の塩昆布で、スタイリストの方にいただいたんですが、これが本当に美味しくて……。酒の肴になるし、白ごはんやTKG(卵かけごはん)にもぴったり。以来、食卓から切らしたことがありません。
まあ、そういう意味では、あまり料理という料理はしないのですが、このエプロンの味わいが出てきたころには、僕の料理の腕前も格段に上達しているはず……ということで。
Photo:Ikuo Kubota(owl)
Text:Toshiaki Ishii
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干場義雅が愛する
「究極のブランド100+5」(日本文芸社)