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ダブルバインドでパワハラになる? ポジティブに使って成功を摑む方法とは

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絶対にYesと言わせる交渉の秘訣を伝授!

「ダブルバインド」という言葉、みなさんは聞いたことがありますか? 初めて知ったという人も多いかもしれません。しかし、無意識にダブルバインドをしてしまって、パワハラ・モラハラにつながってしまうなんてケースも……。そして反対にダブルバインドをうまく応用すれば、ビジネスシーンや恋愛において絶大な効果があるのです。

今回は、そんなダブルバインドの意味や気をつけたい使い方について、みっちり解説していきます! 正しく知って、ダブルバインドを実生活で上手に取り入れてみましょう。

目次

■「ダブルバインド」とは


 ①ダブルバインドの具体例~親子編~

 ②ダブルバインドの具体例~ビジネス編~

■ダブルバインドを受けると


 ①精神疾患を患う場合も

 ②ダブルバインド対処法

■ダブルバインドをポジティブに応用しよう


 ①ビジネスシーンでの使い方

 ②恋愛アプローチでの使い方

■ダブルバインドで成功を掴め!

「ダブルバインド」とは

「ダブルバインド」とは、直訳すると「二重拘束」という意味で、2つ以上の矛盾したメッセージを相手に伝え、そのどちらに従ってももう一方には逆らうことになってしまうもの。相手はその板挟みになって身動きが取れない状態になり、精神的ストレスを感じさせてしまうコミュニケーションのことをいいます。

第1メッセージとそれに矛盾するメタメッセージによって相手は混乱し、しかもその両方から逃げることもできないため、大きな精神的負担がかかる……と言われても、正直よくわかりませんよね。具体例で説明していきますので、ご安心ください。

①ダブルバインドの具体例~親子編~

もともとダブルバインドという言葉は、親から子に矛盾した命令をしてどちらに従っても叱られる状況が子供の統合失調症と関連するのでは、という説から生まれた造語です。そのため、親子間においてのコミュニケーションがダブルバインドとなってしまっている例は少なくありません。

たとえば子どもが何かを壊してしまったとして、「怒らないから正直に言ってみなさい」と言われ「自分が壊しました」とその指示通りに話したとします。経験のある人ならおわかりでしょうが、たいていの場合はその後怒られますよね。この場合、「怒らないから言いなさい」というメッセージに対して、それに従うと怒られるというメタメッセージが矛盾しています。

また、子どもに「勉強しなさい」と言いつつ「なんで親を手伝わないんだ」とも言ったとします。勉強している間は親の手伝いはできませんし、親を手伝えば勉強は置いておかなければなりませんよね。これも2つのメッセージが矛盾してしまうダブルバインドとなります。

他にも、習い事や進学先、はたまた着る服から食べるものまで、「したいようにしなさい」「好きなものを自分で選んでいい」と言っておきながら、親が思うものを選ばないと「こっちにしなさい」と結局親が決めるような事例もあります。「みんなと仲良くするように」としつけているのに、「○○さんのところの子どもとは遊んじゃダメ」と言うなんてことも。

このように、言われたことをしてもしなくても叱られたり否定されたりする状況は、子どもにとってかなりのストレスとなります。しかも多くの子どもにとって親は絶対的な存在で、そう簡単に関係を絶ち切ったり逃げ出したりすることはできませんよね。これがダブルバインドです。

②ダブルバインドの具体例~ビジネス編~

続いて、ダブルバインドが身近なビジネスシーンにおいて起こっている例を見ていきましょう。多くの場合、強い立場である上司から弱い立場である部下に対してのダブルバインドが生じやすくなっています。その結果、パワハラやモラハラにつながってしまう恐れもあります。

新入社員に対してはよく「わからないことはまず相談して、細かいことでもきちんと報告することが大事」なんて教えますよね。しかし、その通りになんでも報・連・相をする部下に「こんなことはいちいち人に聞かずに自分で考えろ」と叱ったら、ダブルバインドになってしまいます。

また、「しゃべっている時間があるなら手を動かせ」と言われた部下がオフィスでのおしゃべりに加わらず黙々と仕事をこなしていると、「同僚とのコミュニケーションをきちんととりなさい」と叱られる……というのも一例です。

それから、「なんでもいいから自分の意見を出すように」と会議で言って、その通りに部下が自分で考えた意見を提案すると「そんなのは不可能だ」とか「ありきたりすぎる」とかことごとく却下するのもダブルバインドといえるでしょう。

有給など休みの申請も、誰もが経験するダブルバインドかもしれません。ルール上は好きな日に休みを取れる制度なのにもかかわらず、繁忙期に希望を出したり先輩と日付がかぶったりするといけないからと、結局取りたくもない日に休み希望を出す……といったケースです。

大きなミスをしてしまった部下に「どうしてこうなったのか説明しなさい」と言って、その説明を聞くなり「言い訳はするな」と叱ったり、「頭を下げて謝れ」と言ってから「謝って済む問題じゃない」と怒鳴り散らしたり、というのも典型的な例です。

または、謝ってきた部下に「こっちでなんとかするから大丈夫だよ」と言ったとしても、明らかに怒った口調や表情だったとしたら、結果としては口調や表情という非言語的な部分でメタメッセージを発してしまっている、ということになります。

自分も上司にこんな叱られ方をしたな……という人も、はたまた部下に言ってしまっているなと思った人も、ダブルバインドを実際に経験しているということです。

ダブルバインドを受けると

ダブルバインドの状態が長く続くと、矛盾したメッセージを受け取る側はかなりのストレスとなります。数々の具体例を見て、まさに自分が常々されていることだと思ったら、自分でも気づかないうちに強いストレスを溜め込んでしまっているかもしれません。

①精神疾患を患う場合も

ダブルバインドのメッセージを受け取った人は、かなり混乱し緊張状態に置かれます。受け取るメッセージが矛盾していて、どの選択肢を選んでも「不正解」になってしまうからです。どうすればいいのかわからず、萎縮して何もできなくなってしまいます。

親子関係であれば、子どもが常に親の顔色を窺い、親の気に入る選択はどれなのかとばかり考えて、自分自身の感情を抑え込んで育ってしまいます。自由な意思決定ができず、親を基準に物事を判断するようになるのです。

上司と部下などでは、何をしても怒られるのではないかと相手に対して怯え、何が正しいのかがわからなくなり、主体性も自信も喪失してしまいます。当然仕事効率は非常に悪くなり、追い詰められて心身に不調をきたしてしまうこともあります。

もともと、ダブルバインドという造語を生み出したグレゴリー・ベイトソンは、このような心理的葛藤状態が統合失調症の原因となるのではないかという説を唱えています。現在もはっきりとした因果関係が明らかにされているわけではありませんが、抑圧され続けて強いストレスを感じれば、誰しも精神疾患を患うことは十分にありえます。

②ダブルバインド対処法

ダブルバインドの状態に陥った時、真面目で人に気を遣うタイプの人ほどストレスを感じやすくなります。そのような状態が続けば、身体も心もボロボロになってしまうかもしれません。

大切なのは、一刻も早く現状から脱却することです。とはいえ、それが簡単にできるような状況と性格なら最初から悩んだりしませんよね。たとえば上司のダブルバインドなら、他の上司や同僚に相談したり、カウンセリングなどを利用したりして、自分の置かれている状況を客観的な視点から一緒に考えてもらいましょう。

相手が態度を改めてくれたり、自分がうまくかわせる方法を覚えたりできればよいですが、どうしても逃れられない場合はその関係を絶つことも考えてみてください。自分自身を守ることが最重要事項です。

ダブルバインドをポジティブに応用しよう

ここまで説明してきたダブルバインドは、ネガティブなものでした。しかし、この理論を心理学者のミルトン・H・エリクソンが催眠治療に応用したのが「エリクソニアン・ダブルバインド」と呼ばれるポジティブなダブルバインドです。

ポジティブなダブルバインドというのは、矛盾した2つのメッセージのどちらを取っても悪い結果になってしまうのではなく、よい前提をもとにした2つのメッセージを与えることにより、どちらを選んでもその前提にたどり着くという方法です。

この方法をうまく使えば、仕事の交渉や恋愛の駆け引きなどにおいて、相手に「Yes」と言わせる確率がぐんとアップします!

①ビジネスシーンでの使い方

ポジティブダブルバインドにおいて大切なのは、相手が自分で選んだかのように思わせておいて、実はこちらが選んでほしい結論はすでに前提として決まっていた、というものです。具体的な例で説明していきます。

たとえば、自社の製品を契約してほしい時に、「Aの商品を契約してくれますか?」と聞いたら断られるかもしれませんよね。ここでは、「自社の製品を契約する」という選択をしてもらいたいわけですから、それを前提とした問いかけを行います。「Aの商品とBの商品、どちらを契約してくれますか?」という具合です。

ここまで直接的にはいかないとしても、セールストークなどでは「AとBのどちらがお好みですか?」といった切り口のほうが、ひとつの商品だけを勧めるよりも相手に「Yes」の選択をさせやすくなります。

これは顧客に対してだけではなく、同僚など社内の人間関係においても応用可能な方法です。部下に仕事をひとつお願いするというケースで説明しましょう。

たとえば、「この資料を今週末までに作成しておいてくれる?」と頼むより、「この資料、今週の木曜か金曜のどっちまでなら作れる?」と頼んだほうが、ダブルバインドの理論に当てはめれば引き受けてもらいやすいということになります。

または、「この資料の作成と、こっちのデータ整理、どっちかお願いできない?」と尋ねれば、どちらかの仕事を任せることができますよね。どちらの場合も、相手にしてみれば自分から選んだように感じられるので、無理に押しつけたという印象を与えずに仕事を振ることが可能なのです。

②恋愛アプローチでの使い方

ダブルバインドは、仕事だけでなく恋愛で使うこともできます。選んでほしい前提を設定し、その前提に基づいた選択肢を与えるという基本さえ守れば、どんなシーンでも応用できます。意中の相手をデートに誘うのは、断られるリスクもあってかなり勇気がいるもの。しかし、「誘いをOKしてもらう」という前提で問いかければ、高い確率で成功するのです。

「次の土曜日、映画に行かない?」という誘い方だと、断られてしまうかもしれません。ダブルバインド的な誘い方だと、どうなるでしょうか? 「次の土曜日か日曜日は空いてる?」や、「次の土曜日、映画か水族館行かない?」となります。

相手は自分に選択権を委ねられているように感じるので、気分よく二者択一を行うでしょう。世間話ついででさりげなく相手の予定や好みを事前にリサーチしておき、より確実な選択肢を提示するとなお成功率が上がります。

ただし、これはある程度コミュニケーションをとって関係を築いてから行うのがベター。いきなりよく知らない人にデートに行く前提の問いかけをされても、普通はどの選択肢も断る人がほとんどだからです。

デート中にもこの方法を使ってみましょう。「ちょっとそこのカフェで休憩しよう」というのを、「あそこのカフェとそっちのカフェ、どちらかで休憩しない?」と聞いてみるのです。言っていることは同じですが、常に選択肢を複数提示しておくことで相手の好みに合わないというリスクを避けることができますし、相手は好きなほうを選ぶだけなので負担もなく、自分の決定によって物事が進んでいくように感じられるのです。

まとめ

2つの矛盾したメッセージを発するダブルバインドと、どちらを選んでもらってもよい結果に導くポジティブなダブルバインド、どちらを使いたいかは火を見るより明らかですよね。ダブルバインドを効果的に利用して、成功を摑み取りましょう!

Photo:Getty Images
Text:N.M



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