僕が捨てなかった服

「僕が捨てなかった服」

【アイビーの面影を追いかけて】英国ブームで再注目されたバラクータへのアツい思いとは

2018.7.26 2018.7.26
2018.7.26
人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。

スウィングトップと言えば、イギリス発のバラクータ G-9!

人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。成毛賢次さんに続いて登場するのは、ビームスのクリエイティブディレクター、中村達也さん

中村さんが膨大な数を所有してきた中でも捨てられなかった服をご紹介する企画の第9回目は、「バラクータ」のG-9です。

90年代に入ってからだったと思うのですが、いわゆるスウィングトップと呼ばれているブルゾンが当時さまざまなブランドからリリースされていました。例えば「グレンフィル」なんかも展開していましたし、ブリティッシュなスタイルが流行していたので、イギリスの昔からあるブルゾンとかアウターというのが盛り上がって、「ラベンハム」や「バブアー」なんかにも人気が集まっていました。

そんな中で、もう少し軽いウェアが求められ、春夏ならスウェイングトップということで、イギリスを代表する「バラクータ」が注目されたのです。

そのときにビームスFでもバイイングしていましたが、当時リリースされていた「バラクータ」は着丈がすごく長かった。コレはG-9のJというジャパンモデルで、着丈を短めにしたモノですね。

僕のイメージとして、「バラクータは着丈が長くて あんまりカッコ良くないな」って思っていたのですが、当時の代理店が日本市場に合わせてJフィットという着丈を短めにアレンジさせたモノを展開してくれまして、それならイイねと買い付けたら結構売れたのを覚えています。

アイビーの時代に話は遡るのですが、「バラクータ」もアイビーには欠かせないアイテムというイメージが強く、日本ではいろいろなトラッドブランドが"バラクータもどき"みたいなブルゾンをたくさん世に送り出していました。

ただ、やっぱり本物はイギリス製の「バラクータ」というのが頭に刷り込まれていたので、時を経てリバイバル的に取り上げることになる訳ですが、アイビーの切り口ではなく、ブリティッシュのカジュアルアイテムとして買い付けたというのが、当時を物語るエピソードで面白いですよね。

今もイギリスで「バラクータ」というのは存在していまして、今リリースされているモデルはより細くなっていますが、コレは着ると着丈は短いのですが、身幅は大きくて…。でも、それが当時の雰囲気だったわけです。

コレも今じゃ絶対に着ませんが、捨てられない。僕にとってスウィングトップというと、「マクレガー」のドリズラーと、「バラクータ」のG-9でした。「マクレガー」のドリズラーは、大学時代に古着屋で見つけて買って着て、もちろん既に捨ててしまいました。

しかし、もうひとつの「バラクータ」は、70年代にアイビーに目覚めたときに流行っていたモノが再び80年代後半から90年代のブリティッシュブームで流行りましたという、自分のトラディショナルな変遷の中では大きな意味を持っているモノなので、捨てることはできませんでした。

高校生のときには本物が買えなかった…。そんな思い入れの強さも捨てさせない理由のひとつだと思います。

Photo:Naoto Otsubo

Edit:Ryutaro Yanaka


中村達也
ビームスクリエイティブディレクター
大学在学中よりBEAMSでアルバイトをし、卒業後ショップ勤務、店長、バイヤーを経て現在はクリエイティブディレクターとしてドレス部門を統括。メンズのドレスクロージングに関するセレクトや論理的な解説が持ち味で、媒体での連載や自身のブログ”ELEMENTS of STYLE”は絶大な人気を博している。

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