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FASHION 赤峰幸生の服飾歳時記

赤峰幸生×ナイジェル・ケーボンが語るヴィンテージウェア(後編)【連載・番外編】

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ファッションデザイナーとして最も大切にしていること

対談前編では、デザイナーのナイジェル・ケーボン氏を「ミリタリーやワークウェアの機能性を大事にしながら自分なりに噛み砕いてコレクションを積み重ねていった。芯はどんなときも絶対に変えないのが素晴らしいところ」と評した赤峰幸生さん。長年の友人である二人は、6月にイタリア・フィレンツェで開催されるピッティ・ウオモで再会します。

ナイジェルの服作りの不変なところ、変わったところ

――赤峰さんはヴィンテージウェアをどう捉えていますか?

赤峰:昔の男の服には必ず着る目的に対するスタイルやフォーム、いわゆる「型」があった。先人たちはそれをきちんと尊重していましたが、今は時代とともに崩れてきています。僕もナイジェルの服作りも、その基本の型は崩さずに、ナイジェルはナイジェルなりに咀嚼(そしゃく)して今という時代を捉えている。

――その“今”の解釈というのは?

赤峰:良い意味でのソフィスティケーションですね。素材を軽くしたり、洗えたり、あえて機能を削いだり。昔のナイジェルは、そういう部分もストレートにリアルに作っていた。それはそれで良かったけれど、今は彼なりに時代を捉えているのがコレクションを見るとよくわかります。

ナイジェル:ヴィンテージウェアはディテールが一番の魅力ですが、たとえば200個のディテールを見て気に入るのは2つほど。『Nigel Cabourn』ブランドは、ファブリック、カラー、ジップなどの付属まですべてが“機能性=ファンクション”に繋がっています。

赤峰:ナイジェルはデザイナーとして、機能性=ファンクションに敬意を表しながら、正しい生地、正しい形で世に出そうとしているのが素晴らしい。最も大切にしているものが不変なんです。

Nigel Cabourn 2017 SPRRING&SUMMER HIT ITEM③
WORKWEAR JACKET(リバーシブルカモ)52,920円

麻のファブリックに対し、片面に英国のD.P.M迷彩生地を、もう片面に米国のフロッグスキン迷彩をリバーシブルプリントに仕上げたリバーシブルのジャケット。表と裏で柄がまったく異なった迷彩パターンを配置し、薄手の生地に表裏の柄の重なりを計算しながらプリントするというテクニックから誕生。同柄パターンのリラックスシルエットのパンツも人気です。

ナイジェル・ケーボンがもう一歩進化するために必要なもの

――赤峰さんはナイジェルの仕事ぶりをずっと見てきて、さらにステップアップするには何が必要だと思いますか?

赤峰:彼が今やっている仕事は、木で例えると「幹」で、それは動くものではない。しかし時代の変化とともに新たな「枝」を伸ばしていく必要もあって、それは「幹に基づいたエボリューション(進化)させた表現」です。デザインの仕事で、進化の表現というと「コラボレーション」がありますが、コラボは新しい価値観の人と利害が一致して取り組めば効果は高い。ただコラボの限界もあります。

――赤峰さんはコラボレーションは?

赤峰:僕自身はコラボレーションはほとんどないですね。

――では、ナイジェルに赤峰さんからメッセージを。

赤峰:ナイジェルの表現の中で、幹から枝になっていく段階で、コラボレーションのような進化の表現を内在化させて仕事をしてほしい。ヴィンテージウェアは人類の素晴らしい遺産の一つですが、みんながミリタリーウェアを着たいわけじゃない。私たちは平和な世界を望んで進むべきなんです。

ナイジェル:確かにそうですね。しっかり仕事をしていきます。今日はありがとう。

赤峰:フィレンツェで会いましょう。

Nigel Cabourn 2017 SPRRING&SUMMER HIT ITEM④
MEDICAL SHIRT 23,760円

ナイジェル自身が愛用していることでも有名なダンガリーシャツ。人類で初めてエベレスト山頂に立ったエドモンド・ヒラリー卿とともに英国登山隊に参加したドクターが着用していたシャツがベースの定番シャツ。生地が二重になっている肩や脇には通気性のための菊穴があり、糸切れ防止のキャッツアイボタンや三本針ステッチによる縫製などタフな仕様も人気のポイント。

Photo:Shimpei Suzuki
Writer:Makoto Kajii

【問い合わせ】
ジャパン・ジェントルマンズ・ラウンジ
https://www.facebook.com/JapanGentlemansLounge

アウターリミッツ
www.cabourn.jp



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