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FASHION 赤峰幸生の服飾歳時記

赤峰幸生×ナイジェル・ケーボン 「ミリタリー、ワークウェアの再解釈について」

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平和な時代に着るヴィンテージウェアを語り合う

好評連載中の、赤峰幸生が語る「服飾歳時記・二十四節気(着)」。ふとした拍子にロンドンの話になったところ、「オックスフォード・ストリートを入ったところに間口60cmぐらいの細い道があって、そこにナイジェル・ケーボンやマーガレット・ハウエル、ポール・スミスら有名デザイナーがショップを構えていたんです」と、今をときめく有名デザイナーの黎明期を振り返った一幕がありました。そんな矢先、ひょんなことから、来日中のナイジェル・ケーボンの赤峰氏の対談がFORZAで実現。お互いリスペクトしあう二人の関係はとは?

デザイナーとして人間として、非常にピュアで、ウソをつかない

赤峰:3日ほど前に高円寺のヴィンテージショップを巡ったのですが、最近とても売り上げがいいそうで、理由を尋ねたら、「ナイジェル・ケーボンが売れているおかげだ」と言っていてとてもうれしかった。ナイジェルの動向に興味を持って見ている証拠ですよ。

ナイジェル:それは教えてくれてありがとう。赤峰さんとは80年代中盤に知り合ったので、もう30年ほどになりますね。私のビジネスが大変なときに助けてくれました。

――助けてくれたとは、具体的に何があったのですか?

ナイジェル:『Nigel Cabourn』ブランドのコンセプトをきちんと理解してくれて、進む道を整理してくれました。当時、とてもいいアドバイスをしてくれました。

赤峰:ナイジェルには、日本代理店のアウターリミッツの社長である勝(すぐれ)勇さんという素晴らしいビジネスパートナーもいます。

ナイジェル:勝さんとの関係も35年ほどになりますが、赤峰さんはブランドの世界観をよくわかってくれている人。大切な友人の一人ですが、メンズファッションの歴史はもとより、デザインについて、コレクションの作り方などを熟知しています。ファッションに大切な“感性”を言葉に置き換えることができる人で、たぶん、自分以上に、自分のことを知っています(笑)。だから、とても信頼しています。

赤峰:ナイジェルは非常にピュアで、ウソをつかないナイスガイですからね。

Nigel Cabourn 2017 SPRRING&SUMMER HIT ITEM①
3-PACK GYM TEE 15,120円

今シーズン爆発的に売れている、3種類の紡績による3種類のTシャツの箱入りパック。3種類の撚糸方法に着目し、それぞれ襟のデザイン、肩部分の縫製、ポケットなど異なるデザインが着て楽しめます。

最も古い紡績方法から生まれたのは、1830年頃に誕生した「リング紡績糸」で、現代にも継承されている最も基本的なもの。安定した肌触りが特徴です。1950年代に開発されたのが「オープンエンド紡績糸」。適度に硬く、ドライな肌触りで、定番のポケットTシャツはこの糸を使用。ポケット付きで、ラグランスリーブ仕様です。

3枚目は90年代に日本で生み出された「VORTEX紡績糸」で、毛玉や毛羽が少なく、とてもなめらかな肌触りに、洗濯に強く、吸水性も高いのでTシャツに適した糸です。

2003年に発表した“LIMITED EDITION 1”がブランドの飛躍の第一歩

赤峰:もともと僕自身が英国好きで、ロンドンにあったヴィンテージショップの『ローレンス・コーナー』などに足繁く通ったものです。

ナイジェル:その店はよく知っていますよ!

赤峰:ナイジェルとはミリタリーウェアに関して同じ価値観と同じ興味を持っているのを確認しましたが、日本のファッションマーケットで「英国」というとサヴィルロウを代表とする“ブリティッシュ・ドレス・スタイル”が基本。ナイジェルがトライしようとしていたカジュアルなデイリーワークウェアは当時なかなか浸透が難しかった。

ナイジェル:よく議論しましたね。

赤峰:それから『Nigel Cabourn』ブランドが注目されるきっかけとなったのが、2003年に発表された限定生産の「NIGEL CABOURN LIMITED EDITION」です。

――撮影スタジオでの発表で、展示されていたコレクションは街着ではあり得ないオーバースペックの登山着で驚きました。あれは、今でも鮮明に覚えています。

赤峰:あの限定展開の“LIMITED EDITION 1”は、エベレストに初登頂したエドモンド・ヒラリー卿とその登山隊がその時に実際に着ていた極寒用登山服をベースとしたもので、まさにナイジェルの真骨頂だった。あのユニークな試みがあって、ブランドの成功に繋がったんです。

ナイジェル:そして、2006年に新生『Nigel Cabourn』ブランドを立ち上げることができました。

赤峰:“LIMITED EDITION 2”は南極探検をテーマにしたものでしたが、ナイジェルはそろそろスペシャルなコレクションを用意しているそうです。

Nigel Cabourn 2017 SPRRING&SUMMER HIT ITEM②
ARMY CARGO PANTS 31,320円

アメリカ陸軍のM-51カーゴパンツに、右腿(もも)のマチ付きポケットという英国陸軍のカーゴパンツのディテールを盛り込んだアーミーカーゴパンツ。2017春夏コレクションのアイテムですが、完売を経て再生産されるほどの人気アイテムです。

――『Nigel Cabourn』ブランドはなぜ成功したと思いますか?

赤峰:一時厳しい時代もありましたが、ナイジェルが英国人として生まれ持っているものと、服のオリジンに彼が向き合い直した結果、日本でも多くの若者が共感しました。ミリタリーやワークウェアは、本来目的とする作業のための機能性がありますが、ナイジェルはその機能性を大事にしながら自分なりに噛み砕いてコレクションを積み重ねていった。芯はどんなときも絶対に変えないのが素晴らしいところです。

赤峰幸生×ナイジェル・ケーボンが語るヴィンテージウェアにつづく

Photo:Shimpei Suzuki
Writer:Makoto Kajii

【問い合わせ】
ジャパン・ジェントルマンズ・ラウンジ
https://www.facebook.com/JapanGentlemansLounge

アウターリミッツ
www.cabourn.jp



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