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えびの背中にアリをトッピング 映画で明かされる「世界一のレストラン」の秘密とは?

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海老の背にアリをぱらり、酸味をプラス⁉ 秘められたテーマは「自然との共生」

美食家の間で知らない人はいない、コペンハーゲンのレストラン「noma」。なぜ、この北欧のレストランが「世界一」のタイトルを何度も手にし、多くの人々を魅了したのでしょうか。それを解き明かす映画、『ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやって来た』が、12月10日(土)より、いよいよ公開になります。日々のレストラン・クルーズに刺激を求めている方には、是非お勧めしたい映画です。

高い芸術性と味が世界で賞賛され、イギリスの月刊誌『レストラン』による「世界のベストレストラン50」で、2010年から4度も世界一に輝いた「noma」。京都の料亭「菊乃井」との出逢いから「日本の食文化に心打たれた」というスターシェフ、レネ・レゼピが、総勢77名のスタッフをコペンハーゲンから引き連れ、5週間限定で「ノーマ・アット・マンダリン・オリエンタル東京」をオープン。オンライン予約ができる3600人の枠は1日で埋まり、ウェイティングリストには6万2000人の名前がキープされ、運良く席が取れたゲストは7万円以上するコースを楽しみました。

本作は、「日本でnomaの世界観を表現する」というミッションのもと、1年をかけて日本各地を巡り、究極の食材を求めて格闘したスタッフの記録です。

本作のメインビジュアルにもなっている、生きた「しまえび」や「ぼたんえび」の上に何匹も蟻が乗っている衝撃的な一皿。レネシェフ曰く「日本滞在中、出かけた先々でアリを食べてみたけれど、長野の蟻が一番、酸味がレモングラスのように鮮烈で美味しかった!」…とのこと。デンマークではレモンをはじめ柑橘類が育たないので、「蟻酸」から酸味を取ることを思いついたのだとか。

コペンハーゲンの「noma」では、「牛肉のカルパッチョ」に蟻が紫蘇のように添えられている一品もあるそうですが、これらは、奇をてらうためのアイデアではないそうです。…と、いうのも、柑橘類の酸味をアリで代用するアイデア以外にも、スパイスがないデンマークではキュウリを乾燥させてパウダーにし、スパイスの代わりにするというテクニックを使ったりもするのだとか。そして、それは地中海でよく使われるような風味になるとのこと!

こういった「その土地の自然素材」を使い、独自の発見を盛り込んだ料理が、食傷気味の美食家たちを覚醒させたのかもしれません。

本作の監督、モーリス・デッカーズ氏は、FORZA STYLEの取材にこう答えてくれました。

「私が本店に足を運んだ時は、20品の料理がメニューとして運ばれてきました。最初の10品はひと口サイズで15分間のうちに出てきました。好みのもの、好みではないものもあったけれど、数日後に思い出すような印象的なメニューがありました。ノーマは食べるだけではなく空間を体験できる点でも特別なレストランでした。50席ほどの店内の中でシェフ50人が挨拶してくれたのですが、そのパフォーマンスがショーの一部のよう。食後も店内をツアーさせてくれて、自分もショーに参加している気分を味わえました。その体験からノーマが1位の理由がよく分かりました。レネシェフは、その土地で感じたすべてのことから料理のインスピレーションを得るそうです。日本であれば、名刺を両手で受け取るとか、公園の木を手入れする丁寧な動作など。劇中のオレンジの切り方は、築地でマグロを切っている様子を見て覚えたそうです。スウェーデンの人たちは人生の美しいものを楽しんで生きている。世の中の美しいものを見つけることができる点は日本的かもしれません」。

日本滞在中、シェフが率いる撮影チームは、東京出店のための食材探しで北は青森から南は沖縄まで食材探しの旅を続けてきました。滞在中、彼らが経験したかったのは「森を見に行きたい」「精進料理を食べたい」「農家の方に会いたい」といったもの。青森県白神山地でマタギの方に森を案内して貰い、鎌倉の東慶寺で精進料理を食べ、千葉や長野の農家を訪ね歩く…、1年の長い時間を地道なリサーチに費やし、「その地の最高の食材を使う」というコンセプトを貫いたそうです。

大自然をアートのフィルターに通し、皿に投影する…という壮大かつ繊細なパフォーマンス。食の世界の「冒険」にご期待ください!
                            Text : Yuki Kamio


「ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやって来た」
©2015 BlazHoffski / Dahl TV. All Rights Reserved.
12月10日よりヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか 全国順次公開
http://www.nomatokyo.ayapro.ne.jp/



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