英国紳士の真髄を体感
言わずもがな、英国紳士御用達ブランドとして知られるダンヒル。齢五十路を超えた成熟男子はもちろん、日本代表サッカー選手のスーツを用意するなど幅広い層に受け入れられている。
そんなダンヒルのもうひとつの顔がダンヒルリンクス。そう、これまた英国紳士御用達スポーツであるゴルフウェアのコレクションである。ここんちはビスポークのスーツや革小物をラインナップする一方、スポーツマインドも忘れていない。
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その背景にあるのがアルフレッドダンヒルリンクスチャンピオンシップ。スコットランド、セントアンドリュース近郊のゴルフコースを使って行われるこの大会を知ると、ダンヒルとゴルフの密接な関係を深く理解することが出来る。。
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そんな大会を観戦、さらには、聖地セントアンドリュースのオールドコースでプレイする機会を得た。10月のとある週末である。
予選のはじまる週の中頃からこの街はダンヒル一色となる。というか、すでに32年の歴史を積んでいることからもわかるように、街中には“ダンヒルリンクス”の常設看板も見られる。まさに地元に根付いている大会であり、ブランドだ。
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競技はプロ部門とプロとアマチュアがタッグを組んでスコアを競う部門がある。ローハンデのアマチュアが聖地を胸を張って歩けるのもこの大会のよさだろう。開かれた門といった印象がある。それは観客を見ていても思った。観戦エリアは比較的ゆるく、ローカルも観光客も身近に試合を眺められる。17番のゴルーンまわりと18番のティーグランド周辺は特にそうだ。この臨場感はたまらない。グリーンを右に外すと舗装している歩道にゴールが転がるのだが、そのリカバリーショットを目の前で見られるのには驚いた。プロのワザは……さすがだ。というか、心臓に毛が生えていないとできない……。
オールドコースを含め周辺リンクスの特徴は3つ。転がる芝、二度と出てこないブッシュ、それとめまぐるしく向きを変える風、だ。これらを読みながらのゴルフは日本のそれとは違う。いわゆるスコティッシュゴルフと呼ばれるもので、ショットはまっすぐ低く打ち出して転がして距離を稼ぐ。最初は戸惑うが、慣れてくるとだんだん楽しくなる。アイアンの使用頻度が高いのが特徴だ。
といった大会の観戦と、リアルなプレイでゴルフの聖地を楽しんだ。言ってしまえば、「いい勉強」である。と同時に、彼の地をうらやましく思えた。というのも、街全体が“ゴルファーファースト”だからだ。ゴルフショップの多さは特筆モノ。カリフォルニアのロングビーチにサーフショップが建ち並ぶごとく、コースサイドにゴルフショップが並ぶ。それにホテルのゴルファーに対する接し方も暖かい。レセプションデスク横にカギの付くゴルフバッグ置き場があり、そこに出入りしていると、ドアマンが「今日はどうだい?」って声をかけてくる。いい感じだ。
セントアンドリュースはまさにゴルファーズタウン。日本でもこんな街があったらいいのに、なんて真剣に思ってしまう今日この頃である。
【プロフィール】
モータージャーナリスト兼コラムニスト/日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員/2014-2015日本カーオブザイヤー選考委 員/日本ボートオブザイヤー選考委員/(社)日本葉巻協会会員http://www.tatsuyakushima.com/index.html