トスカーナ、英語で言うところの“タスカン”はイタリア有数のリゾートエリアである。フェレンツェ自体もそうだが、その周辺はもちろん、シエアやピエンツァあたりには心もカラダもリフレッシュするリゾートホテル&スパは多い。
それにワイナリィが多いのも見過ごしてはならない。中でもキャンティは日本ではメジャーな一品。人気のイタリアンワインと言える。トスカーナの丘陵には、そんなぶどう畑が続く…。
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さて、なぜそんな話をするのかというと、トスカーナをクルマで走り回ってきたからだ。フィレンツェ空港を起点に、一気に南へ下り、シエア周辺を回ってきた。しかも、その足になったのはフェラーリ カリフォルニア T HS。なんとも贅沢なひとときである。
カリフォルニア Tは、フェラーリラインナップの中でも人気のモデルで、GTカーとして幅広い層に受け入れられている。特に新規のカスタマーが多く、女性の購入者比率も他のモデルと比べるとかなり高いそうだ。その意味では最も身近なフェラーリと言えなくもないだろう。もちろん、プライスタグはそれなりであることに違いはないが。
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それじゃカリフォルニア Tは他のスーパーカーと比べおとなしいクルマなのかといえば、決してそうではない。これまでも何度がそのステアリングを握ってきたが、イメージ以上にやんちゃな走りを見せる。あの甲高いエキゾーストサウンドとともにドライバーを刺激するアクセレーションは一級品で、アドレナリンが出ない理由はない。それにワインディングは得意中の得意科目で、軽快な身のこなしはドライバーの頬を緩ませる。ステアリングを切るのがこんなに楽しいことなんだと再認識させてくれるほどだ。
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特に、今回のHSはそれが強調されている。ハンドリングスペチアーレを略したHSのネーミングは伊達ではなく、ステアリングを切るたびにヒラリヒラリと気持ちよく向きを変える。その時ステアリングが絶妙なフィールを手のひらに伝えてくれるのも嬉しい。
フェラーリのマーケティングチームがなぜトスカーナを試乗コースに選んだのかは定かではないが、トスカーナを走りカリフォルニアTの高いパフォーマンスを再認識できたのは確かだ。このエリアはワインディングが多く、こうしたクルマのテストドライブに適していることもわかった。それに景色のよさとワイナリーの多さもこのエリアが試乗コースに選ばれた理由の要因であることは間違いない。立ち寄ったワイナリーではテイスティングはできなかったが、お土産に何本かボトルを買うことができた。そんな時間も実に楽しい。
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なんてことを感じながら日本のことを考える。美しい自然の景色と適度な距離のワインディング、それとワイン。すると、長野という文字が頭に浮かんだ。そうか、もしかしたら日本のトスカーナは群馬、長野、岐阜エリアあたりかも。きっとフェラーリ カリフォルニア Tで走ったら気持ちがいいだろうな、などと思うイタリアドライブトリップであった。
【プロフィール】
モータージャーナリスト兼コラムニスト/日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員/2014-2015日本カーオブザイヤー選考委 員/日本ボートオブザイヤー選考委員/(社)日本葉巻協会会員http://www.tatsuyakushima.com/index.html