アメリカ人デザイナーが考える、いまどきのデニムとは?
平日のスーツ姿はそれなりに様になっていても週末のカジュアルになった途端トーンダウン。もし女性からそんな風に思われたら40男にとっては一大事ですよね?
そんな時は初心にかえって、カジュアルの基本である「デニム選び」から見直すと、着こなしをスムーズに組み立てられます。
いまや一口にデニムと言ってもテイストは千差万別。40男の皆さまの場合、10代の頃に体験したヴィンテージブームを皮切りに、90年代を席巻したデザイナーズジーンズ、西海外のプレミアムな美脚デニムに、純国産のリプロダクトなど、これまで多く出会いと別れがあったかと思います。
そこでの経験から導き出したひとつの答え。それは「万人に似合うデニムなんてモノは存在しない」ということ。仮に定番中の定番を用意したところで、旬なファッションと合わせられたり、崩れた体型をカバーしてくれる保証はどこにもないのです。
大切なことはトレンドを理解したうえで自分らしい一本を選ぶこと。この連載に登場する逸品とともに、新しいデニム探しの旅へと出かけてみませんか?
ロサンゼルスからやってきた新定番の味
今回はちょっぴり辛口な大人のための生デニムをご紹介します。聖地LAからやってきた気鋭のブランドEL CAMINO REAL(エル・カミーノ・レアル)。この名を聞いてピンときた方はかなりのデニム通だと思います。
デザイナーを務めるマイケル・タピアさんはカリフォルニア出身。あのラルフ ローレンの「ポロ スポーツ」の立ち上げメンバーの一人として華々しいキャリアをスタートさせ、その後パリに拠点を移し、自身の名を冠したレーベルを設立。トラウザースのみのコレクションからスタートさせるというストイックぶりが世界中のバイヤーの間で一躍話題になりました。
これまではヨーロッパを拠点としていましたが、生まれ故郷のカリフォルニアで満を持して立ち上げたデニムコレクションのエル・カミーノ・レアルは、モードからヴィンテージまで精通する彼の“らしさ”が滲み出ています。
アメリカンな一本は着こなしも王道に徹するのが正解です!
ブランドの味を知るためには定番から押さえるのが鉄則。というワケでピックアップするモデルは、ブランドの顔であり、スペイン語で勝者を意味する「TRIUNFADOR(トリウンファドル)」。
ラグジュアリーブランドの世界で学んだ穿きやすいテーパードシルエットに加え、ヴィンテージラバーも唸るアメリカのコーンミルズ社の生地を使っていたりと、痒い所に手が届いたと大人向けの一本です。
ちなみに使用しているデニムはやや青味のがかった1960年代頃のヴィンテージデニムをイメージしています。この時代は、アイビー全盛期。裾幅はやや細めで、洗いざらしのBDシャツにローファーなんていう爽やかなスタイルにもドンズバな雰囲気です。
この味わい深い雰囲気を醸し出す理由はこだわりの生産背景にあります。かつてマイケル・タピアさんが手掛けるコレクションはほとんどイタリア製でしたが、現在は拠点であるカリフォルニアで一貫して行っています。そこにはアメリカ製へのこだわりというよりも自分の目で確かめながらクオリティをコントロールしたいと考えるモノづくりへの姿勢がうかがえます。
その結果、彼が努力の末に手にしたのはカリフォルニア産のデニムでしか出せない独特の空気感でした。これはいい意味で生真面目な日本製のデニムでは醸し出せない表情だと言えます。
ちなみに“エル・カミーノ・レアル”というブランドネームは、カリフォルニアにある国道の愛称で、直訳すると「王の道」。その名に相応しい王道を貫くブランド自慢の逸品は、デニムマニアの物欲をも満腹にさせるクオリティを武器に幅広い着こなしをサポートしてくれます。どことなく懐かしい雰囲気も相まって、自然といつもの着こなしに馴染んでくれますよ!
Photo:Yasuhisa Takenouchi
Text: Shuhei sato
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