ラグジュアリーにして悪目立ちしないデニム
平日のスーツ姿はそれなりに様になっていても週末のカジュアルになった途端トーンダウン。もし女性からそんな風に思われたら40男にとっては一大事ですよね?
そんな時は初心にかえって、カジュアルの基本である「デニム選び」から見直すと、着こなしをスムーズに組み立てられます。
このご時世、一口にデニムと言ってもテイストは千差万別。40男の皆さまの場合、10代の頃に体験したヴィンテージブームを皮切りに、1990年代を席巻したデザイナーズジーンズ、西海岸発のプレミアムな美脚デニムに、純国産のリプロダクトなど、これまで多くのデニムたちとの出会いと別れがあったかと思います。
そこでの経験から導き出されたひとつの答え。それは「万人に似合うデニムなんてモノは存在しない」ということ。仮に定番中の定番を用意したところで、旬なファッションと合わせられたり、崩れた体型をカバーしてくれる保証はどこにもないのですから。
大切なことはトレンドを理解したうえで自分らしい一本を選べる感性や経験です。この連載に登場する逸品とともに、新しいデニム探しの旅へと出かけてみませんか?
大人好みのこなれ感が満載のダメージ加工
今回ピックアップするのは、イタリアの名門GUCCI(グッチ)からのプレミアムな一本です。そう、このブランドは世界中の誰もが知るラグジュアリーの象徴であると同時に、2015年にクリエイティブ・ディレクターに就任したアレッサンドロ・ミケーレさんの手腕でファッション関係者たちから熱視線を浴びる注目株。その証拠に、先日アメリカの権威あるCFDAで受賞されるなど、いま乗りに乗っています。
デニムに限らず、40男がラグジュアリーブランドを着こなす場合、何よりも気をつけたいのが“これ見よがしにならないこと”です。
もちろん、がんばって買った逸品ですからアピールしたくなる気持ちはわかります。ただ20代ならいざしらず、40代でそれをやってしまうと、ちょっと品性に欠けますし、成金感が出てしまうのでイタフォー路線を真っしぐら……。
でもこのグッチのデニムであれば、そんな心配は杞憂に終わります。

まず目にとまるのが、淡いインディゴブルーの生地。ヴィンテージ然としたメリハリの効いたタテ落ちも悪くないですが、この自然に洗い込んだような1970~80年代にかけて流行した“アイスブルー”を匂わせるテイストが新鮮に映ります。
気になるシルエットは「適度な身幅がある、大人向けのテーパード」といったところでしょうか。裾幅が極端に広くも狭くもないので、カチッとした革靴でも、リゾート感たっぷりのサンダルでも、オールマイティに合わせることが可能です。この季節だとシンプルに白いTシャツを合わせたり、ベルトレスで穿いてみるのも、シャツをタックインなんてコーデもいいですよね!
装飾的になりがちなバックポケットは「40男の勝負どころはロゴじゃない!」かと言わんばかりに、余計なものが一切ないシンプルなデザイン。要するに、悪目立ちしないため必須条件をクリアしているんです。裾などで見受けられるダメージ加工はやり過ぎない加減が◎。


これまでラグジュアリーブランドのデニムはちょっと苦手かも?なんて思っていた方も思わず一目惚れしてしまう抜きん出た仕上がり。すこぶる爽やかなので夏の日差しにもぴったりですが、色目が重くなりがちな冬の着こなしにさりげなく差すのもよさげなんじゃないかと思っています。
Photo:Yasuhisa Takenouchi
Text: Shuhei sato

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