手が黄色くなるだけじゃない 糖尿病のリスクを減らす
「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ」。そう歌った植木等の時代から幾星霜。忙しくない人を見つけるのが難しいほど、現代のビジネスマンには時間がない。ストレスにさらされて暴飲暴食、運動不足。気づけばメタボや不定愁訴に悩まされている。それらは全部、糖尿病のリスクファクターだ。また糖尿病は国民の半分が罹患し、三分の一が命を落とすといわれる「がん」にかかるリスクも増やすといわれている。
農業・食品産業技術総合研究機構と浜松医大などの研究チームは、1000人規模の被験者の健康状態を10年以上も追跡調査し、糖尿病にかかるリスクを減らす果物を発見した。そのフルーツは「みかん」。拍子抜けするほど一般的なこの果物に含まれている橙色の色素が、糖尿病の発生リスクを減らすのだという。

「毎日3、4個みかんを食べる人」と「毎日は食べない人」を比べた場合、前者のグループは、後者に比べて糖尿病の発症リスクが57%も低かった。マウスにこの色素を与えた実験では、肝臓の炎症抑制や脂肪細胞でのエネルギー消費を活発にする働きもあったという。果物に含まれる果糖は糖尿病のリスク因子と思われてきたが、この実験によってみかんにはそれとは真逆の効果がある可能性が示唆された。みかんに含まれるビタミンCには抗酸化作用があり、アンチエイジングにも効果的。糖尿病や加齢が気になる40代の体をサポートしてくれる強い味方だ。でもいちオシャレじゃない? マンダリンオレンジと呼び変えてみる…とか。
Photo:getty images
Text:Yoshihide Kurihara